研究課題/領域番号 |
26282050
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
東原 義訓 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (90143172)
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研究分担者 |
鈴木 俊太郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10548233)
余田 義彦 同志社女子大学, 学芸学部, 教授 (20191653)
谷塚 光典 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30323231)
森下 孟 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (70642528)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育工学 / 情報システム / 教授学習支援システム / システム開発 / デジタル教科書 |
研究実績の概要 |
本研究では、①学習者用デジタル教科書に求められる主要な機能を含むデジタルコンテンツの開発と試行を通して、標準仕様とデジタル教科書ビューアの効果と課題を明らかにすること、②学習者用デジタル教科書コンテンツの必要な部分をコピーして自分用のデジタルノートを作成し、友達と共有することのできる表現・協働学習アプリケーションを開発し試行・評価すること、③学習者用デジタル教科書と連携して稼働する、児童生徒の理解状態を診断・補充する機能を有する個別学習アプリケーションを開発し、試行・評価すること、④必要性があれば標準仕様の改善方法を提案することを目的としている。今年度は、主に②と③に関する成果が得られた。 ②について 表現・協働学習アプリケーションとして、板書を記録し共有するツールとタブレットに表示されたデジタル教科書をキャプチャして書き込み共有するためのツールを開発した。これは、デジタル教科書が使用されるようになっても、日本の一斉指導の授業スタイルが大きく変わることがないことを想定し、教員による課題等の板書を基本とする授業展開の中で、デジタル教科書と表現・協働学習アプリケーションを組み合わせて活用できる環境を提供するものである。 ③について デジタル教材がデジタル教科書と一体的に使用できるようにするために必要となる教材内容コードのデータ構造および、デジタル教材のモジュールコードのデータ構造の設計を行った。データの内容は、作成機関識別、学校種、学年、教科・科目、単元、知識目標、能力目標、属性1(提示型/個別学習(チュートリアル/ドリル)/資料/解説/整理)、属性2(練習/テスト/分析(診断)/補充/チャレンジ)、属性3(難易度)、通し番号(3桁の番号、属性4(モジュール内容(分岐あり/なし等)、属性5(アクセシビリティ/特別支援向け/通常)、属性6(予約)などである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デジタル教科書の位置付けに関する検討会議が文部科学省の教科書課において設置され検討が開始されたことにともない、情報教育課で進めていたデジタル教科書の標準化は、その検討結果を待つこととされた。そのため当初本研究で計画していた想定とは異なってきたが、逆に教科書課の検討によって、デジタル教科書が制度的にも明確なものとなってきたため、本研究は、新たに定められつつあるデジタル教科書の定義に基づいて進行することとした。すなわち、従来はデジタル教科書の範囲をコンテンツとビューアの両者として想定していたが、紙の教科書の同一の内容のコンテンツ部分のみをデジタル教科書とする方針が明確になり、音声や動画などは、デジタル教科書と一体的に活用できるデジタル教材として位置づけられることとなった。この変更にともない設計を変更することとした。
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今後の研究の推進方策 |
デジタル教科書の範囲が紙の教科書と同一内容のコンテンツであると明確に定められたことに伴い、関連するデジタル教材やツールがデジタル教科書と一体的に使用できることが新たに求められることとなった。そのためのシステムを試作することを本研究の新たな目的とすることとする。すなわち、デジタル教科書と想定される部分を異なるOSでも稼働できるhtml5をベースに開発し、それと一体的にデジタル教材や表現・協働学習ツールが活用できる仕組みを構築する。そのために、デジタル教科書とデジタル教材を繋ぐ仕組みとしてメタデータである「教科内容コード」を定義し、これを仲立ちとして関連するデジタル教材が起動する仕組みを開発する。また、デジタル教科書ビューアから起動される表現・協働学習用ツールに教科内容コードを埋め込むことが可能な仕組みを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
文部科学省のデジタル教科書の位置付けおよび標準化の仕様が本年度の開発に間に合うようには公表されなかったので、その仕様の公表を待ってシステムやコンテンツを開発することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年6月に文部科学省のデジタル教科書の位置付けの検討会議の中間まとめが公表されるので、それを受けて、デジタル教科書をhtml5により開発する。また、デジタル教科書と一体的に使用するデジタル教材とのリンクの仕組みを開発する。経費は平成28年度請求額とあわせて主にこのために用いる。
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