研究課題/領域番号 |
26282051
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
加藤 直樹 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (30252117)
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研究分担者 |
及川 浩和 中日本自動車短期大学, 国際自動車工学科, 教授 (00233007)
興戸 律子 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 助教 (00362179)
山崎 宣次 中部学院大学, 教育学部, 講師 (50622635)
村瀬 康一郎 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (80150027)
松原 正也 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 准教授 (80281046)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | タブレットPC / 協働学習 / 他者介入性 / 学び意識の構造 |
研究実績の概要 |
これまでの研究により,タブレットPCを活用した学習経験により「わかりやすさ」から「協働性」を活かすことができる道具という認識へと道筋が変化することが指摘され,これを意味づけた学び意識の構造モデルを提案した.タブレットPCの利用時に観察される「他者の覗き込み」を契機とした他者介入性は,タブレットPCの特性認識はわかりやすさから協働性へと変容し,相談活動を経験しながら思考判断や関心意欲の高まりに影響し,説明理解を高めて,深い理解を促進すると仮説している. そこで,他者介入性がタブレットPC固有のもであるかを解明すべく,タブレットPC,紙,ノートPCの3デバイスで比較実験した.実験は大学生のペア×3デバイス・同一テキストで問題への取組を実施しビデオカメラと視線記録装置で活動を記録するとともに,質問紙により意識を調査した.実験の結果,他者の覗き込みはペアで同一のテキストを利用した状態では全デバイスで観測されなかった.すなわち,自己と他者で同一の情報しか保有していない場合には,相談活動の必要性がなくテキストから正解を探す活動として個人内に学習が完結し,デバイスの差異に影響されない.一方,意識調査ではタブレットPCによる協働学習の期待度は確認された.そこで,創造的な課題についてタブレットPCを用いてペア間で異なるテキスト,検索の有無で比較実験を行った.その結果,他者の覗き込みは生起し相談活動へと進展した.しかし,思考の深まりにおいて検索なしの条件では曖昧な知識や経験の記憶に悩まされることが多く対話は這い回るのに対して,検索ありの条件では検索により連鎖的に対話を深め意味を共有する活動が確認された. これらの結果から学びの深まりの段階とタブレットPCを念頭に入れたICT活用の段階を2軸としたマトリクスを提案し,授業デザインの基本フレームとして活用できるようにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タブレットPCの他者介入性を組み入れた学び意識の構造モデルを提示し,活用経験を通してわかりやすさから協働性への変容の重要性を指摘した. 計画していたデバイスの相違のみでは覗き込むという行動は生起しなかったが,学習場面で活用可能な情報の差異や情報量,さらには課題設定の重要性が影響するとの着想を得ることができた.そこで,創造的課題において検索の有無を加えることで,検索と対話が本質的な理解や納得を促進し深い学びへとつながることを明らかにでき研究が進展した. これらの成果を学びとICTのマトリクスに表現し,授業デザインのフレームを提示できた.
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今後の研究の推進方策 |
深い学びを検討するための授業デザインのフレームを学びとICT活用のマトリクスで提示した.このマトリクスは6×6段階で表現することで,個人の学びを評価し指導方針を決定したり,授業設計の意図を説明し確認したり,具体的な学びの活動を設計する等に活用可能と考えている. そこで,学びとICT活用のマトリクスを活用した深い学びのデザインに有効となるかを実践により検証する必要があり今後の課題である.
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次年度使用額が生じた理由 |
残金が小額なため、機材購入には不足しているため,次年度にまとめて使用するため.
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次年度使用額の使用計画 |
タブレットPC購入時に次年度予算と合算して使用予定.
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