研究課題/領域番号 |
26282052
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
野崎 浩成 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (80275148)
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研究分担者 |
齋藤 ひとみ 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (00378233)
江島 徹郎 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10335078)
田中 佳子 日本工業大学, 工学部, 准教授 (10406423)
多鹿 秀継 神戸親和女子大学, その他の研究科, 教授 (30109368)
吉根 勝美 南山大学, 経済学部, 准教授 (50230785)
横山 詔一 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60182713)
梅田 恭子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70345940)
中津 楢男 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90133131)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育工学 / 辞書 / 文章理解 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、日本語の読解力向上とそれを実現するための教育実践的応用に取り組みました。日本語読解力の向上については、中国人日本語学習者を対象として、日本語の語彙を学習するための教授方略を考案しました。今回の研究では、特に、片仮名言葉を学習対象としました。その理由は、母語で漢字を使用しない非漢字圏出身者は、日本で使われている漢字はある程度の意味は理解できるが、片仮名の難易度は高いと研究代表者らのこれまでの先行研究で明らかになったからです。以上の研究知見を考慮した上で、日本の大学に在籍する外国人留学生が日本語の語彙(特に,片仮名言葉など)を教授・学習する方法を実現するための授業実践を行いました。具体的には、1.学習者が片仮名言葉を「発音して書く」(イラストを見てその語彙を発音して、その語を日本語で記入する)、2.「聞いて書く」(学習対象となる語彙を日本語の音声で聞き取ってからその語を書き取る)などについて、(1)語彙学習の振り返りや自己モニタリングを促すことで、学習者のメタ認知を高める工夫をした、(2)学校での学習と自宅学習が両立できる学習方法を提案することにより、(3)教師が不在時においても学習者が個別に自律的な学びができる、このような点が実現できる学習プログラムを作成しました。この授業実践の前と後に行われた「事前テスト」と「事後テスト」の結果を比較することにより、本授業実践の教育的評価を行い、その有効性と問題点を検証しました。その結果、中国人母語話者は長音や促音を含む語彙についての誤りが多いという傾向が示されました。さらに、英語が堪能な学習者については、事前テストで発音問題を実施した所、英語に近い発音が多かったことなどから、片仮名言葉を英語の語彙に変換して発音していた可能性が示唆されました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度までの研究において、中国人母語話者が苦手とする漢字を用いない語彙(片仮名言葉など)を習得するための教授方略を提案し、学習者の読解力向上を目指した授業実践を行い、その教育的評価を行うことができました。よって、当初の予定通り、本研究課題の計画通りに研究を実現できたことにより、「おおむね順調に進展している。」と言えます。
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今後の研究の推進方策 |
28年度までに得られた研究成果を応用して、ICTを活用した教育実践的応用を進めることが今後の研究の推進方策になります。具体的には、外国人日本語学習者の語彙習得を促す精緻な手法(ICTの活用など)を考案し、教育実践に取り組みます。さらに、母語の相違(中国人や韓国人母語話者の比較など)により、誤りの特徴やその違いを明らかにして行きます。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、補助事業の目的をより精緻に達成するための研究を実施するためです。すなわち、教育実践的応用に想定以上に時間を要したことにより、読解力向上や教育実践についての調査や資料収集を追加する必要が出てきたからです。これにより、補助事業の目的をより高いレベルで達成することができます。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画は、次の通りです。すなわち、読解力向上や教育実践についての追加の調査や資料収集を行います。さらに、学会への参加および研究発表や論文投稿などを行います。これにより、研究遂行に想定以上に時間を要した事柄(教育実践的応用)について、より精緻な研究成果が得られ、かつ、より質の高い研究成果を幅広く社会に向けて発信することが実現できます。
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