研究課題/領域番号 |
26282055
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
穗屋下 茂 佐賀大学, 全学教育機構, 特任教授 (70109221)
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研究分担者 |
岡島 俊哉 佐賀大学, 教育学部, 教授 (60224002)
早瀬 博範 佐賀大学, 教育学部, 教授 (70173052)
高崎 光浩 佐賀大学, 医学部, 准教授 (70236206)
中村 隆敏 佐賀大学, デザイン学部, 教授 (70509786)
角 和博 佐賀大学, 教育学部, 教授 (80145177)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育工学 / eラーニング / 反転授業 / 協同学習 / アクティブ・ラーニング |
研究実績の概要 |
本研究は、eラーニング(ICT活用教育)と協同学習(アクティブ・ラーニング)を効果的に利用して、大学教育で求められている主体的な学修環境、すなわち反転授業を実現することを目指している。知識獲得は主に自学自習で行い、大学の授業では主体的に「考える」「聞く」「話す」「まとめる」機会を多く演出する。本研究では、大学教育において反転授業を実現するために、(1) 授業前に自学学習できるeラーニング教材を揃え、(2)大学授業において、ICTも活用した協同学習により学び合う授業を実施するための教員のための教授支援システム、及び(3) 学士力を形成的に評価できるシステムを構築することである。 具体的には、次のようなことを実施してきた。英語や数学等の基礎科目のプレイスメントテスト及び到達度テストをWeb上でも行えるように整備し、さらにプレイスメントテストや到達度テストの結果に応じて自学学修できる環境を整備した。 佐賀大学内に設置したサーバを使って、クラウド・コンピューティング環境を構築し、地域の学校や他大学等の教育現場の教員らが容易にLMSを活用できる環境をつくった。ICT活用支援マニュアルを整備して、教員レベルでクラウド・コンピューティング環境上のLMSを使用し、コース設定やコンテンツ選択を行い、教育現場でICTが授業に有効に活用できるかどうかを検証した。 教養教育におけるPBL/TBLでも利用できるケースメソッド教材の作成方法を開発した。電子黒板やタブレット端末を整備して、効果的なアクティブ・ラーニングの方法を究明した。協同学習などの学び合う授業を実施するための教授支援サイトを構築した。また、ケースメソッドの利用したアクティブ・ラーニングを促す防災教育の事例著書や創造的表現力を重視したアクティブ・ラーニングの実践例などを出版してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、eラーニングと協同学習を効果的に利用して、大学教育で求められている主体的な学修環境、すなわち反転授業を実現することを目指している。これまで、LMSを活用した協同学習の試行を重ね、大学教育において反転授業を実現するための方法と有効な教材の確認を行ってきた。カリスマ教員でないと難しかった協同学習が、LMSを利用すると誰でも実践できることを明らかにしてきた。 ICT活用教育においては、授業で利用できるeラーニング教材の有無も関係してくるので、実例モデルとして、教員に新しい教授法を啓発するためのケースメソッドの事例、及び新しい教授法を示すDVDやeラーニング等を用意した。ケースメソッドの事例集として東日本大震災地の語り部らのインタビューで構成した防災教育の教材(映像版ケース)を作成した。またインタビュー等を書き起こして、文章版ケースとしてまとめ出版した。創造的表現力を重視したアクティブ・ラーニングの実践例なども出版した。 英語や数学等の基礎科目のプレイスメントテストや到達度テストの結果に応じて自主学修できるeラーニング教材も整備した。プレイスメントテスト及び到達度テストはWeb上で授業時間外に受けることができるようにして、より多くの学生が受けられる環境を構築した。 ICT活用教育を推進するために、教員らが著しい負担を伴わないようにして、共同で考えさせる教材を作成することを目的として、教員(共同研究者ら)が地域創成型ICT活用教材を制作することを試みた。教員はメンターとしてその教材をどのように活用するかを考えながら、素材を作るために、地域住民にインタビューし、そのインタビューを元に情報を集めた。この教材作成と配信のメンター業務と育成についての「メンター育成教本」となる本を出版する準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度までに得られた結果を基にして構築した、eラーニング活用支援システムの拡大を図る。自主学習できるeラーニングシステムで、大学組織として責任持って学習させる。 eラーニングで事前学習して、大学では学び合う協同学習を推進する反転授業の全学的展開を図る。電子黒板やタブレット端末を利用したテンポよい効果的なアクティブ・ラーニングを展開する。 ICTを活用して履修している学生らの習熟度、自己評価、相互評価、目標達成度等を評価するルーブリック尺度項目を再検討し、より正確に測定できるように修正する。さらに、ICT活用支援プログラムを進める教員および職員の形成的評価方法を確立させる。 大学教育において反転授業を実現するために、授業前に自学学習できるeラーニング教材を揃え、大学授業において、ICTも活用した協同学習により学び合う授業を実施するための教員のための教授支援システム、及び学士力を形成的に評価できるシステムを構築する。 最後に、eラーニングと協同学習を効果的に利用して反転授業を促す教育、国内外のICT活用教育のニーズ調査研究について、得られた結果を取りまとめ、学会等で成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度中にプロトタイプの地域創成型ケース教材書籍の発行を目的に、環境、農業、水産業、民族文化など幅広い各分野の多くの第一人者に行ったインタビューを書き起こし、さらにそれぞれの単元をまとめるために分担して執筆作業を行っていたが、書籍の有効性を向上させるには伝統舞踊や琉球文化歴史の部分の追加取材や一部の内容確認、写真等のとり直し等を行うことになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
より充実した利用しやすい教本に仕上げるために、伝統舞踊や琉球文化歴史の部分の追加取材の他、明白でない部分(例えば、城跡)の撮影、沖縄本島での取材を行う。そして、授業研究等で利用できるように、書籍(電子書籍)の発行を行う予定である
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