研究実績の概要 |
2015年度に、漆とヤモリテープ間における反応が進行する可能性が示唆されたため、これについて合成高分子を用いた検討を行った。その結果、π電子を豊富に有する系において多量体が単量体に分解される反応が進行することが確認できた。(Yoshitaka Nagai, Yoshimi Kamiya, Takayuki Honda, "Development of a new sampling method by carbon-nanotube-based gecko tape for pyrolysis-gas chromatography/mass spectrometry", J. of Anal. and Appl. Pyro., 122, p.p. 422-428) この反応が漆でも起こるかの検討を行ったが、一般的なヤモリテープの量であればこの分解反応は生じないことが確認できた。 一方,ガラス管に封緘しての実験では溶媒が存在しない系であれば問題なく熱分解が進行するものの、溶媒存在下では溶媒との交換反応が進行してしまうことが確認できた。
マイクロサンプリングによる検討については、古代の漆器について検討対象として利用できる試料があったため、これについて分析を実施した。その結果、これまでのバイオマーカーに加え,m/z 91のアルキルベンゼンを利用した解釈が多くの分析資料で有効であることが分かった。これにより,m/z 108,123,91と3つのイオンから識別できることが明らかとなった。
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