研究課題
多手法を組み合わせた地形変動観測,衛星データとGIS分析に基づく精密地形分析,年輪情報に基づく長期変動史の調査を実施した。1.V字谷での短期地形変動:南アルプスの間ノ岳と東河内での2年間の観測データにより,落石・土砂生産の発生時期と発生時の地温・含水条件を高解像度で解明した。安倍川上流の大谷崩での観測により,渓流内の土砂移動は流域内に存在する不安定土砂量に依存することがわかった。複数時期のLPデータを用いた斜面変動抽出法を比較し,侵食・堆積域が重複する土砂移動にはPIV解析,重複しない土砂移動には標高差分解析が有効であること,InSAR解析が他手法では検出困難な地すべりの検出に有効であることが判明した。2.V字谷での長期地形変動:研究協力者StoffelとTrappmanをスイスから招へいし,森林下の斜面,崖錐や沖積錐などにおいて樹木痕分析を行い,過去半世紀の地形変動の履歴を季節変動ベースで把握した。精密三次元地形モデルに空中写真・現地調査で抽出した各地形を重ね合わせて,各地形の分布条件を解明した。3.U字谷での地形変動:夏にスイスに渡航し(松岡・今泉・池田),マッターバレーでの調査・観測を継続した。2年間の観測データを分析し,岩石氷河の移動量,落石・土石流の発生期と運動様式・トリガーを解明した。岩盤からの土砂生産が活発なエリアで土石流が頻発することがわかった。InSAR解析により,崖錐や岩石氷河の微小な地形変動が検出された。4.V字谷とU字谷の比較:両者において,InSAR解析は土砂移動システムの広域な把握に有効であること,土砂生産が土石流の発生に影響を及ぼす点が共通することが判明した。一方,両者では地形変動の履歴と地質構造により斜面傾斜の頻度分布に大きな差が生じ,それがさらに対照的な地形変動システムを生み出していることがわかった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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地学雑誌
巻: 126 ページ: 印刷中
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土砂災害予測に関する研究集会―現用の課題と新技術―プロシーディング(防災科学研究所研究資料)
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http://chikei-tsukuba.blogspot.jp/