研究課題/領域番号 |
26282082
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
山田 哲男 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (90334581)
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研究分担者 |
井上 全人 明治大学, 理工学部, 講師 (60365468)
田中 健一 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (90408724)
北田 皓嗣 法政大学, 経営学部, 准教授 (90633595)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 資源循環 / 温室効果ガス削減 / サプライチェーン / 経営情報システム / 製品設計 / 環境経営 / 経営工学 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
本研究では、組立企業のサプライチェーン(生産物流の供給連鎖)と製品ライフサイクル・経営情報システムにおけるモノと情報の流れに着目し、組立・分解作業に伴う製品/素材と企業価値・利益の創出とともに、循環型サプライチェーンのリサイクル率向上と低炭素型サプライチェーンの温室効果ガス(CO2)削減を同時に目指す。そのため、環境経営情報を志向して循環型と低炭素型の両サプライチェーンを統合し、経済性と環境負荷についての見える化(Modeling)と満足化(Satisficing)を行う。本年度の主な研究成果は以下である。
1 製品設計とサプライチェーンの結合 製品分解について、製品設計と分解システム設計の結合、およびその多目的満足化のプロトタイプ開発を行った。分解システムでは、3次元CADとリサイクル性評価法にもとづく分解時間とリサイクルコストから、省CO2率を確保しつつもコストの最小化を行う分解部品選択と、そのもとでステーション数を最小化する分解ラインの作業編成を定量的に評価した。 2 静脈(リバース)と動脈(レギュラー)サプライチェーンの結合 中国および日本の産業連関表にもとづきCO2排出量の部品表を構築することで、各部品の生産国による調達コストとCO2排出量を定量的に見える化した。さらに、CO2目標削減率のもとで調達コストを最小化するサプライヤー・調達国選択方法を提案した。その結果、ある4部品のみ調達国を切り替えることで、CO2削減率6%が達成されるケースのあることを実験により示した。また、リユース回収量の時間変化が経済発注量に及ぼす影響や、使用済み小型家電の回収・輸送システムについて分析を行った。 3 経営情報とエンジニアリング情報の結合 環境会計におけるアカウンタビリティや、日本における企業サステナビリィのバロメータについて、事例を通じた分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた①~③の各テーマについて、順調に国内外の研究成果発表を行うとともに、循環型・低炭素型の両サプライチェーンに関するモデルの開発や検討が進んだため。
具体的には、テーマ①製品設計とサプライチェーンの結合では、CO2排出量とリサイクルコストの分解システム設計法が海外誌に掲載されたほか、製品設計と組立・分解システム設計の結合と多目的満足化のプロトタイプ開発を実施した。 テーマ②静脈(リバース)と動脈(レギュラー)サプライチェーンの結合では、中国と日本の産業連関表を利用した部品表の構築により、CO2目標削減率のもとで調達コストを最小化するサプライヤー・調達国選択方法の研究成果が国際誌に掲載された。また、調達と輸送のグローバル・サプライチェーンネットワーク設計と生産物流リードタイムの効果に加え、リユース回収品の時間変化が経済発注量に与える影響や小型家電の輸送・回収システムについて検討を行った。 テーマ③経営情報とエンジニアリング情報の結合については、環境会計におけるアカウンタビリティや、日本における企業サステナビリィのバロメータに関する研究が、国内誌論文掲載や海外書籍出版となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、当初の研究計画・方法に記載したテーマ①~③ごとに研究を実施する。
テーマ①製品設計とサプライチェーンの結合では、事例を通じ、製品設計の組立・分解システム設計の結合方法について研究を行うとともに、リサイクル率、省CO2率およびコストについての多目的満足化のプロトタイプ開発を行う。テーマ②静脈(リバース)と動脈(レギュラー)サプライチェーンの結合では、動脈と静脈それぞれのサプライチェーン設計を行う。テーマ③経営情報とエンジニアリング情報の結合については、企業等へのインタビュー調査を行うとともに、被験者を利用した心理学実験を行う。
研究成果の一部は、国内外の学会で発表するとともに、国際会議の海外渡航に合わせて、環境対応の進む欧州やアジア新興国で最新の現地情報を収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、購入予定だった製品ライフサイクルソフトウェアが、提供企業との交渉によりアカデミック環境で大学間共同利用できることになった。そのため、ソフトウェアの講習費用が必要になったが、ソフトウェア本体、サーバ、PCや周辺機器を購入しなくてもよくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、被験者を集めた心理学実験や、国際会議での研究成果発表、および海外調査・研究打合せを予定しており、実験謝金や海外旅費として使用する。
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