研究課題/領域番号 |
26282085
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梅谷 俊治 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (80367820)
|
研究分担者 |
河原 吉伸 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00514796)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 組合せ最適化 / データマイニング / アルゴリズム |
研究実績の概要 |
組合せ最適化の専門知識を持たない利用者が,産業や学術の幅広い分野において日々新たに生じる現実問題を短期間で解決するには,これらの問題を整数計画問題などの汎用的な組合せ最適化問題に定式化し,その問題に対する高性能なアルゴリズムを開発することが望ましい.しかし,問題の汎用性が高まればアルゴリズムの性能向上に利用できる特徴的な構造が失われるため,汎用的な組合せ最適化問題に対して高性能なアルゴリズムを開発することは困難である.本研究では,実行時に個別の入力データからアルゴリズムの性能向上に役立つ構造を発見し,アルゴリズムの設定や構成を自動的に決定する手続きを提案することで,汎用的かつ高性能な組合せ最適化アルゴリズムを実現する. 本年度は,実世界から収集された大規模データに基づく大規模かつ多様な整数計画問題に対して,局所探索法を雛形とするメタヒューリスティクスを開発した.局所探索法は,現在の解に対してごく少数の変数の値に変更を加えて(近傍操作)得られる解集合(近傍)の中に改善解があれば,その解に移動する手続きを繰返すメタヒューリスティクスの基本戦略である.その設計における自由度は大きく,個々の問題に含まれる特徴的な構造を把握した上で,探索空間,解の評価,近傍の定義,移動戦略などの各要素を注意深く設計することで高性能な局所探索法を実現できる.近傍内の改善解を発見するための探索は近傍探索と呼ばれる.局所探索法では,計算時間の大部分が近傍探索に費やされるため,大規模な組合せ最適化問題に対応する上でその効率化は最も重要な課題である.そこで,集合被覆・集合分割問題に対する高性能な局所探索法を基に,近傍探索において解の評価値の計算を高速化する手法と,改善の可能性の少ない解の探索を省略する手法を開発し,数百万変数の大規模な整数計画問題に対応できる高性能な局所探索法を実現した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,数百万変数の大規模な整数計画問題に対応できる高性能な局所探索法を実現し,その研究成果を人工知能分野の国際会議であるAAAI-15にて発表した.
|
今後の研究の推進方策 |
大規模な整数計画問題に対応できる高性能な局所探索法が実現できたので,次に大規模な入力データから局所探索法の性能向上に役立つ特徴的な構造を短時間で発見する手法を開発する.特に,データマイニングや機械学習など大規模データから知識を発見する手法の最新の研究成果を調査しつつ研究課題に取り組む予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りに予算を執行できたが微少な残額が生じた.
|
次年度使用額の使用計画 |
残額は微少なので次年度の使用計画に変更はない.
|