研究課題/領域番号 |
26282101
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤 浩明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40207519)
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研究分担者 |
後藤 忠徳 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90303685)
南 拓人 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (90756496)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 津波 / 電磁場 / ダイナモ作用 / 波高予測 / 伝搬予測 |
研究実績の概要 |
本研究の目的を達成するためには,津波起源の電磁場の三次元数値シミュレーションを成功させる必要がある。平成27年度は,この点で一定の進展が見られた。 津波電磁場のこれまでの定式化では,背景磁場である地球主磁場の鉛直成分だけが考慮されていた。しかし,磁気赤道付近では双極子磁場を主成分とする地球主磁場の磁力線が地表面と平行になる為,赤道域では津波電磁場の源は存在しない事になる。しかし,背景磁場の水平分力まで考慮すれば,津波に伴う海水の粒子運動の鉛直成分とのカップリングが可能になり,津波電磁場の源となり得る。 この点を考慮し,平成27年度はまず地磁気水平分力を含めた二次元解析解を求めた。その結果,磁場水平成分と粒子運動鉛直成分とのカップリングにより,海面においても海底においても観測可能な磁場が作られる事が明らかとなった。さらに三次元の数値シミュレーションにより,地磁気水平分力の寄与は鉛直分力のそれより中高緯度では小さいものの,地磁気鉛直分力が消失する赤道域では水平分力の寄与が津波電磁場の唯一の源となり,かつ,その大きさが有意である事も示す事ができた。また,地磁気水平分力による津波磁場と鉛直分力起源の磁場との間には90度を超える位相差が存在し,水平分力起源の磁場の方が早く観測される事も分かった。 一方,海底観測装置の設置やその回収による新たな電磁場データの取得は,平成27年度の研究航海が内定後取り消された為不可能になった。この為,平成28年度の航海に備え,海底観測装置に付加する音響モデムを調達した。平成28年度の航海は正式採択され,本年11月に北西太平洋で実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄に記載した通り,平成27年度の海底観測は実施できなかったが,津波電磁場の三次元数値シミュレーションにおいて一定の成果が出た為。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究航海は,当初予定より観測時間が削減されたが,正式採択されているので,海底観測の成功に力を注ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
海底観測装置と研究船または海上ブイ間との音響データ転送を想定し音響モデム二式の調達を予定していたが,一旦内定していた平成27年度研究航海が運航費の不足を理由に取り消された事により,海底観測装置への音響モデム付加が不可能になった為。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に採択された研究航海の必要経費に充当予定。
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