研究実績の概要 |
今年度は最終年度である為,主に以下の三つの研究活動に集中し,成果のとりまとめと今後の展開を図った。 1.海域および陸上観測(南・藤):海洋研究開発機構の深海潜水調査船「よこすか」による約二週間強の調査航海が認められた為,平成28年11月10日(晴海)から11月25日(横須賀)の日程で,北西太平洋海盆に敷設中の海底長期電磁場観測ステーションによるデータの回収および音響データ通信試験を試みた。また,高知県馬路村における地磁気三成分基準観測点と,同県室戸市における地磁気観測点との比較観測から,外部磁場擾乱の影響を受けない津波起源磁場検出法に関する観測的研究も並行して行った。 2.津波電磁場の三次元数値シミュレーション(南・後藤・藤):この研究活動では大きな進展があった。すなわち,「津波が作る電磁場の時間領域三次元数値シミュレーション・コード」が,主に研究分担者である南の努力により完成を見た。これまで,周波数領域における津波電磁場の数値解を逆フーリエ変換する事により観測時系列と比較した例は複数存在したが(例えばKawashima & Toh, 2016; Zhang et al., 2014),本研究による新たなコード開発の成功により,より直接的かつ高精度な理論と観測の比較検証が可能になった。 3.国際共同研究(後藤・藤):今後の津波電磁場研究の国際展開を見据え,主に藤が米国と欧州の関係研究機関を歴訪し,新たな協力関係を構築した。その内既に一つは,米国NASA/GSFCから米国政府への新たな研究提案として具体化された。 また,今年度の成果報告は,藤が渡航先の各研究機関(NASA/GSFC, USGS Golden, NOAA/NCEI, ETH Zurich)で,後藤がIAGA国際電磁誘導ワークショップ(タイ・チェンマイ)で,南がAGU秋季大会(米・サンフランシスコ)でそれぞれ行った。
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