研究課題/領域番号 |
26282104
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩田 知孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (80211762)
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研究分担者 |
関口 春子 京都大学, 防災研究所, 准教授 (20357320)
松島 信一 京都大学, 防災研究所, 教授 (30393565)
浅野 公之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (80452324)
鈴木 亘 国立研究開発法人防災科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (90509366)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 強震動予測 / プレート間巨大地震 / 震源モデル / 2011年東北地方太平洋沖地震 / 震源過程 / 2016年熊本地震 |
研究実績の概要 |
周期数秒~0.1秒程度の地震被害に直結する周期帯域の強震動生成に係る震源モデル(強震動生成モデル)について,平成27年度までに,強震動生成域の大きさと求められた応力パラメタの関係を再現できる震源モデルを作成した.このモデルは,観測から得られている震源特性を表現することの出来るモデルであることを確認した. 2011年東北地方太平洋沖地震時の強震観測点でのサイト特性評価を継続した.大加速度を観測した地点においては,強震時に地盤の非線形挙動を起こしている可能性があり,弱震動記録や微動記録との比較を継続した. 2016年に発生した熊本地震やニュージーランド・カイコウラ地震では,地表地震断層近傍で強震記録が得られた.これらの加速度記録は強震の影響によって地震計が傾くことで加速度記録の基線がずれるため,そのまま積分をした速度波形,変位波形は信頼できない.適切な基線補正を行うことにより,より信頼度の高い速度波形,変位波形を得ることができた.これによって,地表地震断層近傍での変位の様子を明らかにすることができた.得られた変位は,震源断層そのものの動きと地震動の影響が含まれており,分離することができないが,熊本地震本震においては,断層近傍特有の変位の特徴から,断層破壊を直接的に求めることができた.また,カイコウラ地震では,最大速度は熊本地震で得られた記録より小さいものの,最大変位量は逆に大きく,これらに加えて,1999年台湾・集集地震の震源近傍強震動記録等も含めて検討すると,地表地震断層の(近似的な)最大すべり速度の多様性を示していることがわかった.震源断層モデル化のため,観測された(近似的な)最大すべり速度とすべり量との関係を今後整理していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年東北地方太平洋沖地震,同日の茨城沖地震,2003年十勝沖地震の僅か3例であるが,深さ方向に生成される地震動の周期特性があることがわかった.このことと,不均質震源モデルの応力降下量パラメータのばらつきの特徴を含めた,広帯域地震動予測のための震源モデルのプロトタイプを構築できた.また,観測強震動の特性から,より信頼度の高い震源特性を引き出すためのサイト増幅特性評価,震源モデル構築のためのすべり速度の多様性についての観測情報を整理し,モデル化に適用することを進めることができていることから,このような評価を行った. 2016年には熊本地震,ニュージーランド・カイコウラ地震といった大地震が発生し,地表地震断層の近傍で貴重な強震記録が得られてその分析から,震源断層モデルパラメータの「幅」について,直接的に知る重要な手がかりを得ることができたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
ここまで行って来た情報を統合して,広帯域強震動予測のための震源モデル構築方法のプロトタイプに基づき,モデルを構築して強震動シミュレーションを行い,モデル構築手法の適用性を検討する. 期間内に関連した大地震が発生した場合はその強震動生成モデルを検討し,本研究の震源モデル構築手法にその知見を加える.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打ち合わせを学会等を利用して行ったことなどから旅費の使用額を減じることとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
成果公表等を行うための費用,研究に必要な観測を継続するための費用を適切に見積もったうえでの使用計画をたて,実行する.
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