研究課題/領域番号 |
26282110
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
釜井 俊孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (10277379)
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研究分担者 |
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 助教 (00572976)
倉岡 千郎 日本工営株式会社中央研究所, その他部局等, 副技師長 (30463540)
秦 吉弥 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80463561)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地すべり / 盛土 / 地震 / 観測 |
研究実績の概要 |
平成26年度の目的は、住宅が密集する都市域に、地震動、地中変位、間隙水圧の観測点を選定し、具体的な観測を開始する事である。そのためには、観測用地を市街地に確保する必要があった。そこで、東京都目黒区の2箇所、世田谷区の1箇所、横浜市神奈川区の2箇所に用地確保の交渉を行い、長期間の稠密観測を開始した。東京都では、2箇所の谷埋め盛土において地表地震動と間隙水圧、そのうちの1箇所で地表気圧と2方向地中傾斜(3深度)の観測を実施した。残りの1箇所では、参照点として地山上の地表地震動を加速度計と速度計の両方で観測した。横浜では、崖際、谷埋め盛土、地山部分という街区を構成する地形要素を包含する規模で、地表地震動の観測を開始した。その結果、平成26年5月5日の大島沖地震による顕著な地震動、間隙水圧応答、地中傾斜変化を捉えることに成功した。特に、東京都目黒区における地震動は、水平動よりも上下動が大きいという特異なものであった。盛土によって、厚い軟弱層が形成された結果、S-P変換波の多重反射が強調された結果と考えられる。また、同時に間隙水圧の非弾性応答(地盤の一部塑性化)、傾斜方向の転換(谷の横断方向から縦断方向へ)も起きていたことがわかった。これらは、地すべりのメカニズムを検討する上で、重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標は、観測点を設置し観測を開始すること、廉価な地中傾斜計の導入の検討開始であった。実際に、平成26年度には、観測点の設置に成功し、さらに意義のあるデータも得ることができた。成果の公表も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、平成26年度の地震観測点を拡充し、地震動、地中変位、間隙水圧の観測を同一地点で実施するフルセット観測点を増設する。その際、限られた経費を有効に活用するため、安価で革新的な観測法の開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、現場測定が中心であった。そのため、倉岡(分担者)が担当する、解析に必要な労務費やソフトウェア費用が発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2014年度の現場観測により、地震時の結果が得られたので2015年度に解析を実施する。その費用(ソフトウェアの購入・レンタル、労務費、補足用の計測機器の部品等)として2014年度の残額を2015年度経費と合わせて使用する。
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