研究課題/領域番号 |
26282120
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 健志 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30249560)
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研究分担者 |
宮崎 浩 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (00263228)
百武 徹 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20335582)
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん骨転移 / 放射光イメージング / 微振動刺激 |
研究実績の概要 |
がん骨転移に罹患したマウスの飼育・管理,実験に適したクリーン実験環境システムを構築した.次いで,骨破壊観察に適したマウスがん骨転移モデル作製のためのパイロット実験を行い,WBVの負荷期間や観察ポイントの決定など,平成27年度以降の実験に向けて必要なデータの集積を行った. 1)クリーン実験環境システムは,クリーンラックをクリーンブース内に設置して作製した.全身微振動(WBV)システム(静音動電型振動発生器,振動コンソール,振動制御PC)はブース内に配置し,クリーン環境で利用できるようにした. 2)骨転移モデルマウスの作製においては,がん細胞としてBALB/cマウス(♀)由来の4T1乳がん細胞を用い,これを同系統マウス(♀,5週齢)の脛骨近位骨端幹部の骨髄内に移植した.マウスは,室温25℃,湿度50%,人工灯8:00-20:00の管理環境のもと,実験環境システムの中で飼育し,必要に応じて鎮静剤を腹腔内投与した.異なる数のがん細胞(10,000~1,000,000)を移植したマウスについて,X線透視装置による微視的(/週)および肉眼的(/日)な骨移植部の観察を行い,移植後,2週,3週,4週時に安楽死させ,HE染色標本を作製して組織学的な病変観察を行った.その結果,3-4週の観察期間中に適度な腫瘍成長および骨溶解を示し,エンドポイントに至ることがなかったがん細胞の移植数は50,000程度であることが確認できた. これに加え,パイロット実験によって作製した試料を利用し,次年度以降に計画している放射光計測の有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標である「がん骨転移モデルの確立とその飼育環境の整備」は達成され,ほぼ計画通りに研究は進んでいる.また,解析は未だ途中であるが,次年度に予定している放射光利用の有効性について確認することが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
がんの骨破壊に対する全身微振動(WBV)の抑制効果について腫瘍血管新生への作用に着目した評価を行うため,初年度の結果より確立したがん骨転移マウスモデルを対象に,骨量維持効果が報告されているWBVの振動条件で負荷実験を行い,無負荷群との比較を行う.ジルコニア・アガロース成型剤を充填した血管鋳型試料を作製し,k吸収端サブトラクションCTによって腫瘍血管を高精度で抽出し,そのミクロ形態を解析する.加えて線吸収係数から骨ミネラル密度を得る.また,得られた画像に基づく循環数理モデルを構築し,腫瘍血管新生への作用を介したWBVの効果について検討する. さらに、インビボ放射光CTによるがん骨破壊のトラッキング,組織学的観察によるがんの悪性度の評価に基づいて,WBVの作用をより詳細に評価する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度の実験はほぼ計画通りに遂行し目標は達成されたが,動物モデル作製の条件決めに予定より多くの数の動物を利用したため,同年度に予定していた振動発生器の購入に充てる費用が不足した.振動発生器定価の約56%分を未使用額として次年度に繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した費用と次年度分の一部費用を振動発生器の購入に充て,当初の予定通り,振動負荷のがん骨破壊への作用を評価するための動物実験を遂行する.また,振動発生器購入による減額分は,使用動物数の削減および試料作製など民間業者への委託作業を学内委託業務(研究代表者の異動先大学[27年度4月より徳島大学]の提供サービス)に切り換えると共に,大学交付金の一部を充てこれを補う事とする.
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