研究分担者 |
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
金川 基 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00448044)
中村 一文 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10335630)
片野坂 公明 中部大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50335006)
氏原 嘉洋 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80610021)
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研究実績の概要 |
心不全に至る原因や過程は一様ではないが、唯一、高血圧などの血行動態負荷は共通の引き金である。しかしながら、心筋細胞の機械刺激受容機構は未だ解明されておらず、その生理的役割や心肥大・心不全発症メカニズムが明らかにされていない。この問題の解決には、生体内環境を再現・評価する医工学的方法論の開発と、心筋メカノセンサーを核とした分子・細胞・生体を網羅する多階層からの評価に基づいたトランスレーショナルリサーチが必要である。本研究では、メカノセンサー分子・細胞・臓器機能からの多階層医工学的評価に基づき、心臓の機械刺激受容機構を解明することを通して、生体の多様な血行動態負荷を巧みに利用した心機能維持および適応応答機構、および心不全発症機構の分子基盤を明らかにし、新しい心不全治療戦略を提案することを目的としている。我々は、介在板の心筋メカノセンサーを同定し、これを発現抑制した心臓は、著しい収縮機能低下に陥り、血行動態の変化に対しても適応的な肥大応答ができなくなるという実験結果を得た(Katanosaka et al., 2014, Nature Communications)。この結果は、介在板メカノセンサーが、心臓の血行動態変化を常にモニターしており、細胞機能・構造や適応応答の維持に反映させていることを示している。また、血行動態の変化によって生じる心筋細胞の変化を分子レベル・微細構造レベルで解明するために、大動脈を結紮した左室圧負荷モデルを作成し、術後16週間にわたって心機能の変化と細胞・分子レベルの変化を解析した。その結果、細胞内のCa2+応答機構の変化だけでなく、T間膜や介在板などの局所のCa2+コントロールによる超微細構造の維持が、細胞機能の変化へ繋がることを明らかにした(Ujihara et al., 2016, Cardiovascular Res.; Ujihara et al., 2016, BBRC.)。
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