研究課題/領域番号 |
26282125
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339691)
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研究分担者 |
坂口 勝久 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (70468867)
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
加藤 義治 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00143850)
伊藤 匡史 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10328429)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 無細胞化 / 無細胞化腱 / 膝前十字靭帯再建 / 生体組織 / 強度保持 / 滅菌 / 引張試験 |
研究実績の概要 |
本研究では、(1)ブタ腱の強度保持を実現する無細胞化処理条件と凍結乾燥・滅菌時の前処理条件の確立、(2)無細胞化して滅菌した腱の粘弾性特性と強度の評価条件選定と評価法確立、(3)植込期間1年の大動物実験と摘出組織の組織学的評価、力学的特性評価の3つの項目に関する研究を並行して実施する。H26年度は、(1)について、長さ約10cm、幅約7mm, 厚さ約4mmのブタ屈筋腱を対象とし、1wt%のデオキシコール酸溶液を拍動循環させつつ37℃未満でマイクロ波を照射する脱細胞化処理を行い、その後核酸分解酵素処理を行い無細胞化腱を作製した。無細胞化処理後のDNA残存量をPicoGreen dsDNA Assay Kitを用いて測定した結果、残留量は乾燥組織あたり約90pg/mgとなり、一般的な脱細胞化の指標である50ng/mgと比較して0.2%程度と顕著に除去でき、ブタ由来の腱でも無細胞化できることを実証した。また、無細胞化処理後に水との結合に着目して開発した組織前処理法を用い、凍結乾燥およびエチレンオキサイド滅菌後の組織の破断応力、最大弾性率を検証した。その際、精度の高いデータを取得するため、均一でない生体組織の断面積を測定しつつ試験を行う引張試験システムを開発し特許出願した。本引張試験システムを用い、本提案の無細胞化処理および滅菌処理を施したブタ腱について試験を行い、腱の破断応力、最大弾性率を未処理組織と同等に保持できることを明らかにした。また、無細胞化腱を用いて膝前十字靭帯再建後の組織を摘出時の力学的特性を正確に計測するため、再建した腱が大腿骨および脛骨に固定された状態で引張試験により力学的特性を取得するための膝関節固定治具を開発し、特許出願した。引張試験装置で上下に並進1自由度があるため、回転2自由度、並進2自由度を有し、かつ正確な設定ができる生体組織固定治具を開発できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で実施する、(1)ブタ腱の強度保持を実現する無細胞化処理条件と凍結乾燥・滅菌時の前処理条件の確立、(2)無細胞化して滅菌した腱の粘弾性特性と強度の評価条件選定と評価法確立、(3)植込期間1年の大動物実験と摘出組織の組織学的評価、力学的特性評価の3つの項目に関するH26の計画について、計画どおりに実施できた。(2), (3)については得られた成果をもとに特許出願でき、達成度は100%といえる。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度の成果を活用し、特にH27年度は、無細胞化して滅菌した腱の粘弾性特性と強度の評価条件選定と評価法確立、および無細胞化ブタ腱を用いたヒツジ膝前十字靭帯再建実験を中心に行い、H28年度に植込期間1年の摘出組織の組織学的評価、力学的特性評価を実施できるように研究を推進していく。
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