研究課題
現状の生物学顕微鏡技術は、生体内に存在する屈折率の異なる物質による光の擾乱により生体深部における像の劣化が起こる。生物学研究においては今後、生きたままの生体内での観察がより重要になる。従って、解像度での深部観察性能が要求される。本研究課題では、これを達成するために天文分野において発展してきた「補償光学」を顕微鏡に適用し、補償光学顕微鏡を構築するとともに、「観察」以外にも、近年発展してきたオプトジェネティクスや、生体内の局所的遺伝子発現法など、光による生体・細胞を「操作」する技術への補償光学の応用基盤確立を目的とした。具体的には、本研究課題では、局所遺伝子発現顕微鏡(IR-LEGO)に補償光学を応用し、生体の深部細胞でも効率良く遺伝子発現が可能な系へと高度化することを目的とした。複数の光学・生物学分野の共同研究者と議論を重ねながら、まずは生体内部の光の擾乱を起こす原因の同定(論文公表)から始め、補償光学顕微鏡の構築を行った。「光操作」系への補償光学導入に関しては、照射用レーザー(可視)を「観察」で使用する波面補正用ミラーデバイスを経る光学系を構築して照射用レーザー光の集光度改善が可能であると予測して実施し、その効果を確かめた(論文投稿準備中)。本研究課題では赤外光による検証が必要となるが、まずは可視による確認を行ったわけであるが、現在は赤外光による集光も確認できている。赤外光の集光度は見えないために温度上昇を指標に評価するために本研究課題では生体内温度計測プローブの開発も共同で開発し、遺伝子にコードされた幅広い温度域をレシオメトリックに計測できるプローブを開発した(論文公表)。今後は実際の生体内部での赤外光の集光改善をこれにより実施していく。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件) 備考 (1件)
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