研究課題/領域番号 |
26282129
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
神 隆 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, チームリーダー (80206367)
|
研究分担者 |
塚崎 克和 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (70452381) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | バイオイメージング / 近赤外 / 蛍光 / 乳がん |
研究実績の概要 |
本研究課題では、「生体の光学窓」と呼ばれる波長700-900nmにおける非侵襲蛍光イメージング用の新規近赤外蛍光プローブを開発することが目的であり、乳がん腫瘍イメージング用プローブとして近赤外発光貴金属ナノクラスターを利用した。近赤外蛍光プローブは、生体の蛍光イメージングにおいて極めて重要な要素技術であり、平成26年度には、近赤外発光貴金属ナノクラスター精密合成法および乳がん腫瘍イメージング用の分子プローブの開発をおこなった。1)近赤外発光貴金属ナノクラスター精密合成法の開発:生体での非侵襲蛍光イメージングをおこなうため、近赤外で発光する金ナノクラスター精密合成法の開発をおこなった。従来の発光性金ナノクラスターでは、700nm以上の近赤外領域で発光する例はなかったが、反応に用いる鋳型蛋白質、pH、反応時間などを精密に制御することにより、再現性のある近赤外発光金ナノクラスターの合成法が確立できた。近赤外発光金ナノクラスターの水中での量子収率は約2-5%であり、非侵襲生体イメージング用プローブとして利用可能である。2)乳がん腫瘍イメージング分子プローブの開発:近赤外発光金ナノクラスターを用いた乳がん蛍光イメージング用分子プローブを開発した。分子プローブとして機能させるため、金ナノクラスター表面にヒト乳癌細胞の20-30%に発現しているHER2(ヒト上皮成長因受容体)抗体を結合させた。開発した近赤外プローブを用いてヒト乳がん細胞の蛍光イメージングをおこなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非侵襲で生体を蛍光イメージングするための近赤外発光の貴金属ナノクラスターの合成法が確立できた。また、近赤外発光の金ナノクラスターを用いて乳がん細胞に特異的に結合するプローブの合成ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後さらに、近赤外発光の白金ナノクラスターの合成法を確立し、金を含め近赤外発光の貴金属ナノクラスターによる非侵襲での乳がん蛍光イメージング技術を開発する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
設備備品(主に化学合成に関わる装置)についてはほぼ当初計画通り使用しましたが、平成26年度の実験内容として主にプローブ合成および細胞でのイメージング実験に集中し、動物実験、成果発表のための旅費、その他等に関わる経費が当初予定より少なくなった。その結果、次年度での使用項目として、合成実験経費以外の動物実験等に関わる消耗品、論文掲載料等の割合が大きくなることが想定され、次年度の研遂行上の理由で約133万8011円の次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究計画で重点となる動物実験等に関わる経費として、実験動物(マウス)の購入代、餌代、維持管理代等で100万円、また論文の掲載料等で33万8011円を使用する予定である。
|