研究実績の概要 |
本研究課題は、「生体の光学窓」と呼ばれる波長領域での乳がん腫瘍の近赤外蛍光イメージング技術を開発することである。近赤外蛍光イメージングは、比較的表層にある乳がんなどの早期発見・診断に有効であると期待されている。現在、医療現場で認可されている近赤外蛍光試薬はインドシアニングリーン(シアニン系有機色素)のみであるが、発光の量子収率が低いため(血中で1%程度)、生体深部での蛍光イメージング用分子プローブとしては適していない。これまでの研究では、蛍光性の貴金属(金、白金)ナノクラスターを基盤として、従来の有機色素にくらべ1桁以上明るく生体毒性の無い新規近赤外蛍光プローブを実現した。最終年度では、これまでに開発した金ナノクラスター型近赤外蛍光プローブの細胞毒性試験をおこなった。また、さらに「生体の第2光学窓」と呼ばれる波長1000-1400nmでの蛍光イメージング技術の開発をおこなった。開発した金ナノクラスターについては、細胞バイアビリティー試験の結果からほとんど細胞毒性はないことがわかった。また、波長1000nm以上で発光する量子ドットを用いた近赤外蛍光プローブの開発により、これまでにない鮮明な生体深部蛍光画像の取得が可能になった。これまで開発した近赤外蛍光プローブを利用することにより、生体深部での乳がん腫瘍,センティネルリンパ節等の蛍光イメージングが可能となった。
|