研究課題/領域番号 |
26282132
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
梶本 和昭 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 特任准教授 (10416216)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノテクノロジー / オミックス創薬 / メタボリックシンドローム |
研究実績の概要 |
平成27年度は、新規リガンドを搭載したナノDDSの処方の最適化を終了し、既存のリガンドを搭載したナノDDSよりも優れた脂肪血管への集積を達成した。さらに、脂肪血管標的型ナノDDSを10mlをスケールで調製する手法を確立し、同時に薬物搭載効率の大幅な向上にも成功した。また、医薬分子として15-デオキシプロスタグランジンJ2(15d-PGJ2)を搭載したナノエマルジョン型DDSの簡便な調製方法を確立した。様々な物性を有するナノエマルジョンを調製し、各ナノエマルジョンからの薬物放出速度を測定したところ、エマルジョンの総表面積が大きいほど薬物放出速度が遅くなる、いわゆる徐放性を示すことが明らかとなった。15d-PGJ2は、高濃度域では抗炎症、抗腫瘍作用を有するが、低濃度域では炎症および細胞増殖を促進する二相性作用を有することが知られており、これが医薬分子としての応用を困難にしている。薬物放出速度の異なる15d-PGJ2搭載ナノエマルジョンを調製し、肥満の病態形成に必須の血管新生に深く関わるマクロファージ細胞に作用させたところ、薬物放出速度の速いナノエマルジョンでは二相性作用が見られたのに対し、薬物放出速度の遅いナノエマルジョンでは、低濃度域から細胞増殖抑制作用が見られた。以上のことから、単独では医薬分子として使用しにくい15d-PGJ2をナノDDS化することで薬物作用の分離が可能であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規リガンドを搭載したナノDDSの構築・最適化と医薬分子を搭載したナノDDSによる機能評価の双方で順調に良好な成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、研究代表者の所属機関変更に伴い、多機能性医薬分子の合成・開発にかかる実験を担当する研究分担者を新たに追加する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年3月に使用する物品を購入、納品されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額(\12,088)については、平成27年度に実施した研究の物品購入の支払いに使用する。
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