研究課題/領域番号 |
26282140
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金井 浩 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10185895)
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研究分担者 |
長谷川 英之 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (00344698)
高瀬 圭 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60361094)
瀧 宏文 東北大学, 医工学研究科, 講師 (40467460)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医用超音波計測 / 粗さ計測 / 動脈硬化 / 動脈内皮機能 / 動脈壁内弾性板欠損 / ラテラル方向変位 / 血管表面形状 |
研究実績の概要 |
(1)in vivo計測結果 健常な被験者A~Fの6名に対して本手法を適用し,血管表面形状を推定した.各被験者において,従来の超音波B-mode画像では空間分解能が不足しているため表面形状を観察することはできないことが分かるが,本手法により推定された表面形状では,超音波の波長以下の変動成分が見られ,高空間分解能な計測ができたことが分かる.また,各被験者において2回同部位の計測を行っているが,2回計測間の相関値は0.9以上であり,RMS差は十分小さな値となったため,高い再現性を示したと言える. 被験者6名のうち,20-30歳の被験者を若年群,50-65歳の被験者を高年齢群と分類し,グループ間において表面粗さを比較した.定量比較にあたり,表面形状の粗さを定量評価できる指標(空間的に平滑化した結果と平滑化前の差の二乗平均値の平方根)を導入した.これは,表面形状における基準からのばらつきを示している.提案指標により6名の被験者の血管表面粗さを評価した結果,2つのグループの表面粗さをみると,若年層と高年齢層の表面粗さはそれぞれ2.23 μm,2.75 μmとなった.加齢により血管壁の損傷が蓄積し,血管粗さが増大すると予想されるため,この結果は定性的に妥当である. 本研究では,高精度に血管内腔側微小表面形状を計測する手法に実験的に検討し,2つの年齢層のグループに属する6名の被験者に対して本手法を適用させ,定量評価指標によって血管粗さを評価した.その結果,若年層と高年齢層の表面粗さに差が見られた.これらにより,本手法の有効性を示すことが出来た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定のとおり,計測システム設計が進んでいる
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今後の研究の推進方策 |
動脈硬化症の極早期段階に生じる内皮細胞の損傷による内腔表面粗さの計測において,内皮細胞のサイズが10-20ミクロンであるのに対し,通常の超音波断層像の空間分解能は0.1 mm程度であり検出は難しい.本研究では,頸動脈の長軸方向変位を利用して表面粗さを高精度に計測する手法を開発した.基礎実験における鋸歯状の表面形状を有するファントムの計測から,提案手法により10ミクロン程度の表面粗さを計測できることを示した.さらに,ヒト頸動脈のin vivo計測において本手法により10-50ミクロン程度の微小な表面粗さを計測することができた.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,精度向上と目的とした高周波の超音波計測装置購入のため,次年度に予算の一部を組み込んで購入する予定で進めていたが,他の経費で購入したため,繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
(1)2種類のプローブを購入する。皮膚から浅い部位の血管計測のために,高い周波数のプローブ,皮膚から深い部位の血管計測のために,低い周波数のプローブが各々必要であり,それらによって高精度の計測を行う。 (2)国際会議への成果発表(6件)のための旅費。
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