研究課題/領域番号 |
26282145
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
森川 茂廣 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60220042)
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研究分担者 |
仲 成幸 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (10359771)
村上 耕一郎 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (30572763)
山田 篤史 滋賀医科大学, バイオメディカルイノベーションセンター, 特任助教 (40534334)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 低侵襲手術 / 手術ロボット / 画像ナビゲーション / MR画像 / 超音波画像 |
研究実績の概要 |
今年度は先ず超音波装置の導入と改造を行った。超音波装置の条件として、①ハードディスクではなくSSDで起動するシステムであること、②移動が容易であること、③超音波画像の外部出力ポートを有することの3つを条件に機種を選定し、これらの要件を満たすものとしてGE社のVenue 40を導入した。この超音波装置のトローリー部分には、高さを調整するための磁性体の鉄製部品が大量に含まれていたため、これらを除去し非磁性体のアルミ合金でトローリーを製作した。また超音波プローブの内、比較的小型のセクター型のプローブを固定できるよう、ロボットのハンドピースを新たに作成した。様々な角度からの穿刺に対応できるよう、プローブ位置をニードルガイドの周囲に45度ステップで簡単に回転できるような機構も追加した。また外部へ出力された超音波画像をUSB経由でPCに取り込むためにEpiphan社のDVI2USB3.0を導入しナビゲーションPCへの超音波画像の取り込みも実現した。これにはSDKも完備されており、今後、このナビゲーションシステムに有効なプログラム開発環境が整えられており、今後の改良も期待できる。これら新たに導入、あるいは改良した機器を組み合わせて、初期検討を開始した。超音波診断装置の安全性、有効性については、コネクター部分やネジなど、僅かに磁性体部品が残っていたが、1.5TMR装置のマグネット開口部から1.5m程度(静磁場強度約60ガウス)に設置しても全く引力を感知せず、しかも正常に動作した。超音波プローブには磁性体は検知されず、更に近くの開口部から50㎝程度の位置(静磁場強度約800ガウス)でも安全かつ正常に動作した。プローブと対象物表面の間には、水を満たしたゴム袋(氷頸)をおき、ロボットに固定した超音波プローブでの超音波画像の観察も問題なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで高磁場環境でもiPadなどタブレット型PCが動作することは確認していたが、超音波診断装置の安全性、MR対応性については当初より最も危惧していた問題であった。MR環境で超音波装置を用いる場合には、トローリーからタブレット型の超音波装置本体部分を外しての単体での運用も考慮していたが、画像の外部出力ポートはトローリー部分に設置されており、本体部分のみでは画像の外部出力ができないことが確認された。超音波装置のトローリー部分は鉄の塊のような構造であったため、この部分は除去して非磁性の部材に置き換えたものの、コネクター部分、ネジなど交換が極めて難しい部品があり、またタブレットの本体部分を改造することは不可能であった。また高価な超音波装置を自己責任で磁場環境に持ち込むことは非常に大きな冒険であった。しかし、トローリー部分の改造のみで、超音波装置は磁石室内で安全かつ正常に動作することが確認されたので、機器に関する第一で最大の障害はクリアすることができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現状は、再構成MR画像とともに超音波画像をナビゲーションシステムのPCで表示できるようになり、双方の画像をモニターしながら穿刺を行えるようになった。しかし、穿刺経路を決めるMR画像と穿刺針を観察する超音波画像は、それぞれ標的はとらえているものの対応している訳ではない。再構成MR画像は穿刺針を基準とする座標系、すなわち穿刺針が垂直に画像中央を下りてくる方向で表示され、超音波画像はプローブを基準とする座標系、すなわちプローブは真下を向き、穿刺針は右上から斜め下方向に向かう方向で表示されている。そこで、PCに超音波画像を取り込むためのDVI2USB3.0に付属しているSDKを活用して、まずは再構成MR画像と超音波画像の座標系を一致させ両者を対応付け、両者をモニターすることにより穿刺を行える環境作りを目指す。特にMR再構成画像では超音波画像に一致する断面だけではなく、それに直交する画像情報も提供されるため、より安全で有効な3次元画像ナビゲーションを提供できることが期待される。また、MR近傍の磁場環境にロボットを設置して操作することの利点は第1にレジストレーションのステップが必要ないことであるが、もう一つの利点は、必要に応じてMR画像の撮像を容易に行えることである。現在のハンドピースも針を対象物に刺入したままロボットハンドピースから外すことは可能ではあるがその操作は極めて煩雑である。今年度は針を容易にリリースできるようにハンドピースを改良し、より利便性を向上させることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集のために国際会議に出席することを計画していたが、6月にアジアコンピュータ外科学会と国際コンピュータ支援放射線・外科学会が福岡で開催されたため、これに出席して情報収集を行うことができたため、外国出張は行わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は研究成果の一部を国際学会で発表するために外国出張を予定しており、その費用に充当する計画である。
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