研究課題
近年、ナビゲーション加算が付与されるなど、手術AR(Augumented Reality:拡張現実感)ナビゲーションの重要性は益々高まっている。一方、特徴点情報の不足や変形への対応について課題があり、臓器などの非剛体への適用方法は未だ確立していない。本課題では、臓器の大回転変形や切開においても臓器モデルの重畳を可能とする柔軟物追跡技術の確立を目指す。特に、多くの特徴点情報を取得可能とする多層計測技術と、大変形や切開に対応可能な非線形柔軟物モデルの協調により、実時間臓器追跡を実現し、腎部分切除を想定した応用システムを構築する。本年度は、基本機能の高度化として、多層計測技術の高度化、非線形柔軟物力学モデルの高度化、力学に基づく追跡手法の開発を行った。具体的には、多層計測技術ではこれまで開発してきた多波長・狭帯域計測の手法における波長選択法の自動化を行うことにより、様々な物体を対象として効率的な実験が可能となった。実験では、従来の手のひらのみならず、鳥の胸肉などを対象とした実験を行った。また、非線形柔軟物力学モデルにおいては、これまで開発してきた超弾性の剛性マトリクス表現モデルにおいて大回転に対応させるべく共回転手法を導入した。さらに、応力分布に基づいて追跡範囲を動的に変更する力学ベースの追跡手法を開発した。これらの研究の一部は、当該分野において最も権威のあるIEEE Engineering in Medicine and Biology 2015などに採択された。また、腎部分切除術に関する研究も進展し、代表的なジャーナルであるInternational Journal of Urologyに2本採録された。また、成果の一部は、書籍「AR技術の基礎・発展・実践」や招待講演を通して広く周知に努めた。
2: おおむね順調に進展している
上述のとおり、多層計測技術の高度化、非線形柔軟物力学モデルの高度化、力学に基づく追跡手法の開発に成功し、成果の一部は代表的な国際会議やジャーナルに採択されている。
開発した機能において、よりバリエーションの多い実験を計画し、その有効性を示したいと考えている。また、構築したシステムを医師と共同して評価を行い、応用可能性に関する考察を行う予定である。
数値解析ソフトについて、別予算で充当できたため。
計算機の老朽化により実行が不安定となっているメッシュ生成ソフトの購入にあてる予定である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Int J Urol
巻: 23(2) ページ: 148-152
10.1111/iju.13009
巻: 22(11) ページ: 1075-1077
10.1111/iju.12897
https://sites.google.com/site/ahchlab/research