研究課題/領域番号 |
26282158
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
道免 和久 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50207685)
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研究分担者 |
小山 哲男 兵庫医科大学, 医学部, 特別招聘教授 (40538237)
友利 幸之介 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (90381681)
高橋 香代子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (70572155)
古河 慶子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10412016)
内山 侑紀 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50725992)
足立 清香 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70731694) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳卒中 |
研究実績の概要 |
Diffusion tensor imagingを用いたCI療法におけるTransfer package(TP)の神経機構の解明:皮質下に損傷を認めた9名の対象者を対象に実施した.結果、訓練前後および訓練後から訓練後1年の上肢麻痺の程度を示すFugl-Meyer Assessment(FMA)の値と関連性があった神経繊維は内包後脚(PLIC)と上縦束(SLF)のみであった.PLICは訓練前後の短期的なFMAと密な関連があった(R2乗=0.49, P=0.03)が,訓練後から1年後の長期的なFMAとの関連はなかった(R2乗=0.19,P=0.23).一方,SLFは,訓練前後の短期的なFMAとの関連はなかった(R2乗=0.34, P=0.63)が,訓練後から1年後の長期的なFMAとの密な関連があった(R2乗=0.60,P=0.014).我々の研究からTPはCI療法後の長期的なFMAの向上に関与して(Takebayashi. 2013)おり,TPによるCI療法の長期的な効果は,PLICをはじめとした錐体路よりも大脳皮質のネットワークを構築するSLFに依存する可能性が示唆された。 慢性気重度麻痺に呈するボツリヌス療法およびCI療法を含む多角的治療:5名が終了しFMAにて,ボツリヌス施注射前24.00±5.55→CI療法前24.80±5.98→CI療法後34.40±2.65(p<0.05)と有効な変化を示した. 上肢訓練における目標設定のための面接アプリを作成:デルファイ法にて、項目妥当性を検討しPDF版を作成、Transfer packageの中に組み込み症例を実施中. 脳卒中後下肢麻痺に対する機能的電気刺激を用いた下肢CI療法の取り組み:11名の対象者で訓練前後で下肢のFMA、10m歩行速度、6分間歩行が向上した.E-SUMの実施トレーニングも終了したため、来年度から追加評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に計画した内容はDiffusion tensor imagingまたは上肢のCI療法を含む複合的な治療、上肢訓練における目標設定のための面接アプリの作成に関しては、PDF版は完成したが、アプリ化にはまだ至っていない。しかしながら、下肢のCI療法については、来年度以降の実施であったがE-SUMの使用訓練と並行して、機能的電気刺激を用いた下肢CI療法の取り組みも探索的に11名実施できており、予定以上の成果を上げている。これらを鑑みると、概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究計画は当初「課題志向型訓練の標準化」と「慢性期重度片麻痺例に対するCI療法を含む多角的な治療の効果を検討するための無作為比較試験」を予定していた。前者は、予定どおり実施するが、後者は倫理的な問題から無作為比較試験を前年度から継続しているSelf-controlled studyに計画を変更し実施する。去年度作成した上肢訓練における目標設定のための面接アプリの基盤であるADOC for handのPDF版をアプリ化する。また、CI療法におけるTransfer packageを効率化するPDF版のADOC for handを患者に用い、有効性の評価も行う。加えて、上肢に対する訓練であるCI療法の技術を下肢に応用するために、ロボットおよび機能的電気刺激装置を用いたSelf-controlled studyを去年度より継続して実施する。最後に、経頭蓋磁気刺激と末梢神経筋電気刺激によるより効率的なCI療法の施行についても実施する。複数の課題を並行して実施する予定であるため、周到なマネージメントが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降、複数年度に渡る費用としてロボットのレンタル料などを考えている。また、補助金が支払われる前に国際学会における情報収集が必要なため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
補助金が支払われる前の国際学会への旅費と上肢の治療であるCI療法の技術を下肢に応用する際に用いるロボットのレンタル料金に充てる予定である。
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