本年度中、まず、日常生活での使用を目指し、空気圧駆動アクチュエータによるロボットハンドを完成して、データグローブの信号をもとに、両手動作実験を行い、その実用性を確認した。空気圧駆動アクチュエータは、固有粘弾性があるゆえ、拮抗構造と併せ持つことで、装着型生体補助機器に必要とするBack-drivabilityを実現し、高い安全性が確保できる。 また、技術課題のシステム統合については、上肢高位切断者の実時間肩義手制御インターフェースを構築するため、上肢運動時肩部筋電情報、脳波情報を信号源とした手の運動軌跡再構成プログラム、精確な位置測定を必要としない感覚フィードバック法:バーチャルアバターを用いる位置フィードバック法を実装した。これを15人の被験者を募集し、検証実験を行い、その有効性を検証した。リハビリテーション現場には、モーショントラッキングなどの位置測定装置がほとんど設置しておらず、精確な位置情報を用いるトレーニングが困難である。バーチャルリアリティによる教示、トレーニングを用いても、一定の訓練精度が達成できることをこの分野で初めて示すことができた。 さらに、関節座標系や筋座標系と比べて、脳内活動はより直接に機能訓練の効果を反映することできるため、上肢機能の訓練における感覚フィードバックの効果について、Functioanl MRI (fMRI)を用いて、検討した。具体的には、訓練中に、動作に合わせて、障害側に振動覚を与え、fMRIでとらえた健常側と障害側脳活動を用いて、比較を行った。結果、適切な振動覚を与えることで、訓練の効果があることを明らかにしました。
|