我々は,おいしいと感じると瞼の血流が増加し,まずいと感じると鼻の血流が低下することを報告した.顔面血流から味覚を容易に判別することが可能かを検討するために,男女89名を対象に,おいしい飴とまずい飴をなめた際の顔面皮膚血流を簡易的に記録した.特異的な変化はなく,いわゆる実験環境以外で味覚を判別するのは困難であった.次に,皮膚血流に部位差が表れる要因を解明するため,顔に温度刺激を与えた.頬,額では,温度変化に伴い血流が変化した一方,瞼では温熱に伴う血流増加はなく,鼻でも冷却に伴う血流減少はなかった.顔面皮膚血流の特異的応答は,血管の拡張・収縮の容易さではなく,神経性因子によるものと示唆された.
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