研究課題/領域番号 |
26282165
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平田 雅之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (30372626)
|
研究分担者 |
貴島 晴彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10332743)
柳澤 琢史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90533802)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 医療・福祉 / ブレイン・マシン・インターフェース / 嚥下機能 / 頭蓋内脳波 |
研究実績の概要 |
H26年度に引き続き、難治性てんかんの焦点同定等のために頭蓋内電極を留置した患者4名を対象として、グミや水分の摂取、ならびに通常の自由に食事を摂取している際の咀嚼・嚥下運動とその時の頭蓋内脳波を同時計測した。これまでの研究から咀嚼・嚥下運動の時系列定量化を適切に行うことが重要であることが明らかとなった。そこで咀嚼・嚥下運動を時系列定量化し頭蓋内脳波と対応づけるため、Microsoft社のKinectを用いて、口と喉の動きをリアルタイム自動計測して特徴量を連続記録し、その状況をモニタリングできるシステムを新たに開発した。これにより、咀嚼・嚥下運動の計測・解析が客観的・定量的・自動的に短時間でできることを可能にした。このKinect咀嚼嚥下計測システムをLaryngogragh、喉頭マイクと併用して咀嚼・嚥下運動を同期計測し、頭蓋内脳波計測を日本光電デジタル脳波計で同期計測した。計測したデータから咀嚼・嚥下の各相を同定し、これに対応した頭蓋内脳波を解析し、脳律動変化を解析ソフトBESAを用いて時間周波数解析した。その結果、咽頭相においてシルビウス裂の周囲の電極を中心に高周波活動が生じることが明らかとなった。これはこれまでのPET等を用いた知見と合致する結果であることが文献調査にて確認できた。他の帯域での律動変化、他の相での律動変化に関しても、現在解析を進めている。 連携機関であるシカゴ大学の高橋グループでも引き続き解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に引き続き、難治性てんかんの焦点同定等のために硬膜下電極や刺入型深部電極を留置された患者4名を対象として、嚥下時の頭蓋内脳波データを計測した。Laryngograpgh、喉頭マイクを用いて口と喉の動きを同時計測した。口・喉の動きと脳波データを対応付け、嚥下運動の各相別による脳活動の違いを調べている。 H27年度は口と喉の動きをキネクトで定量的に自動計測できるシステムを開発し、これを嚥下計測に利用できるようにできた。
|
今後の研究の推進方策 |
1.頭蓋内脳波を用いた嚥下関連脳活動の計測と解析:平成27年度に引き続き、難治性てんかんの焦点同定等のために硬膜下電極や刺入型深部電極を留置された患者を対象として、嚥下時の頭蓋内脳波データを取得する。H28年度はH27年度に開発したシステムをさらに改良して、口と喉の動きをキネクト、Lryngograpgh、喉頭マイクで計測し、これらを頭蓋内脳波と同期計測し、嚥下運動時の脳活動解析を行う。行動データとの対比により、嚥下運動5相の各相別による脳活動の違いを調べる。 2.嚥下運動の脳信号解読:平成28年度は、前年度から集積した頭蓋内脳波を用いて嚥下運動の脳信号解読に取り組む。咀嚼運動と顔面運動との微細な識別に取り組む。また、嚥下運動5相の各相の識別にも取り組む。 3.嚥下運動のBMIの基盤技術開発:脳信号解読結果にもとづいて嚥下運動をFES等により制御・補助するBMI装置の基本設計を行う。最終的には、我々が現在開発を進めている体内埋込型BMI装置に本研究で開発した嚥下機能支援機能を加え、ADLの総合的改善を可能にする装置を考案する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費が当初計画より少額にできたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
口、喉の動きの自動定量計測システムの改良に充当する。
|