研究課題
ブレインマシンインターフェイスを嚥下機能再建に応用するため嚥下時の脳機能を解析した。治療のため頭蓋内電極を留置した側頭葉てんかん患者のうち電極が中心溝の腹外側領域(ブロードマン領域43:BA 43)を覆っていた4名の患者を対象とした。脳破は焦点検索のため1万Hz脳波計を用いて24時間連続計測されている。被験者には座位にて口腔内に水2mlが注入されたのちそれを自由嚥下してもらった。電気声門図、喉頭マイク、Kinect RGBカメラを脳波計と同時計測しそれらのデータから喉頭の上昇開始時間を特定しその時点を0秒として脳破データを揃えた。脳波の解析には高速フーリエ変換、時間周波数解析を用いた。嚥下開始-1秒から0.5秒にかけてBA 43での高周波帯域の活動増強が見られ、嚥下後0.5秒を境に高周波帯域の活動は消失し低周波帯域の活動増強に移行することがわかった。嚥下1秒前から0秒は嚥下の準備期にあたり、嚥下後0秒から0.5秒は嚥下ステージⅠ期:口腔相に当たる。0.5秒以降は嚥下ステージⅡ期:咽頭相、Ⅲ期:食道相にあたり、これらの運動は不随意に行われている。一方、口腔相は舌の動きによって食塊を口腔内から咽頭に運ぶ随意運動である。今回の我々の結果では準備期と口腔相ではBA 43に高周波帯域の活動の増強が見られた。運動が随意運動から不随意運動に移行するタイミングにおいて高周波帯域の活動が消失し今まで活動が見られなかった低周波帯域において活動が増強した。嚥下運動は随意運動と不随意運動が協調して行われており、大脳は随意運動を脳幹は不随意運動を担っているとされているがその協調メカニズムは明らかになっていない。今回我々が観察したBA 43での随意運動と不随意運動の切り替わり時点での高周波帯域の活動消失と低周波帯域への活動の移行は大脳と脳幹の協調を大脳側から初めて観察できた結果ではないかと考えている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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