研究課題/領域番号 |
26282172
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
阿江 通良 筑波大学, 体育系, 教授 (10175721)
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研究分担者 |
内山 治樹 筑波大学, 体育系, 教授 (00168717)
加藤 謙一 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (00177437)
宮崎 明世 筑波大学, 体育系, 准教授 (10517197)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 動作の改善 / バイオメカニクス / 標準動作モデル / 立幅跳 / 遠投動作 / 小学生 / ハンドドリブル |
研究実績の概要 |
平成27年度には、1.26年度に改良した標準動作配信システムの大学ネットワークシステムへの組み込みおよび試験的運用、2.標準動作モデルを増強するためのハンドドリブル熟練者(大学選手)の3次元データ収集、3.小学生(4および6年生)を対象とした標準動作モデルを用いた立幅跳および遠投動作の改善実験を行った。 1.標準動作配信システムの組み込みおよび試験的運用:一般公開するにはより多数の動作モデルをデータベースに加えること、種類の異なる動きに対応できるように改良する必要のあることがわかった。 2.大学選手のハンドドリブルの標準動作の作成:熟練大学選手10名の3次元動作データを収集し、通常の大学選手と比較したところ、ボール保持位置、上腕の動作(特に内外旋)に大きな相違があることが明確になり、作成された標準動作モデルはハンドドリブル動作の改善のために有効なものと考えられた。 3.小学生を対象とした動作改善実験:標準動作モデルおよび動作映像遅延表示システムを用いて、小学4年生53名(男21、女32)には立幅跳の、6年生32名(男17、女15)には遠投動作の学習による改善を試みた。 1)立幅跳(5分の練習を4回):全体としては、跳躍距離には有意な向上は見られなかったが、17名が向上した。これは、同時にお複数の改善点を支持することが小学4年生には大きな負担となったためと考えられた。 2)遠投動作(40分の実技指導を4回):男女とも投距離が優位に増加し、動作も改善された。標準動作からの動作逸脱度(zスコア)を指標にした動作の改善個所は、男子ではリリース直前の右肩外転、女子では準備局面の体幹の後方回転およびリリース直前の右肩外転が明確であった。これらの結果から、標準動作モデルを用いた練習によって、小学生男女の投距離が改善し、標準動作モデルに近い動作に変化したことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
標準動作配信システムについては、サーバーを新規に導入したこと、ネットワークシステムの保守点検作業があり、予定どうりに導入が進まなかった。 動作改善実験については、小学生(2~4年生)を対象としているため、学校の協力が不可欠であり、学校の学年暦に無理がないように実験を設定したために、予定よりもやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度(最終年度)には動作改善実験をさらに推進するとともに、平成26~27年度に収集したデータを、動作改善の前後で比較し、有意な変化を示したバイオメカニクス的項目に着目して動作改善による効果を検討する。 これまでの研究から、動作改善の指標として動作逸脱度が適切な指標の1つであり、また動作の類型化にも有効であることが明らかになりつつあるので、この指標を手がかりに、統計的手法やコンピュータシミュレーション手法(機構解析ソフトRecurDyneを予定)も用いながら、学習者の類型化の方法や学習者のタイプ(特性)に応じた動作の指導に役立つ知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に実施した動作改善実験は、小学校等の協力を得て実施する必要があるが、協力校の学年暦の関係で計画どおりに進まなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
動作改善実験のための実験補助謝金、被験者謝金として使用する予定である。
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