(研究1)足底屈筋群のActive条件での筋ステイッフネスの測定法の確立 我々が最近試作した足関節トルク測定器は、非常に短い時間での筋の伸張を実現するモータを装備している。この装置を用いて、ヒト生体でα法を応用している先行研究(Foure et al. 2010 Int J Sports Med)と同様な角速度条件で、関節角度変化を用いたα法での筋ステイッフネス、および超音波法から実測される筋線維長変化から求められた筋ステイッフネスを比較した。その結果、発揮筋力が増加するにつれて、両測定法による筋ステイッフネスともに増加した。しかし、各発揮筋力レベル毎における筋ステイッフネスは、10%MVCを除いてα法と実測法との間に有意な相関関係は認められなかった。以上の結果から、関節角度変化から推定されるα法よりも、筋線維長変化を実測する本手法が正しく筋ステイッフネスを評価できることが示唆された。
(研究2)陸上長距離選手の足接地パターンとアキレス腱特性との関連 陸上長距離選手を対象にして、ランニング中における足接地パターンとアキレス腱特性との関連を検証した。被検者は大学で長距離競技を専門に行う選手41名であった。トレッドミル上で時速18kmの速度で走行している際の足接地部を高速度カメラで撮影し、足接地パターンによりつま先着地群、足裏中央部着地群、踵着地群の3群に分類した。また、等尺性足底屈筋力発揮中のアキレス腱の伸張量を実測し、「張力ー伸張量」関係から腱の最大伸張量およびステイッフネスを測定した。その結果、アキレス腱の大伸張量およびステイッフネスは3群の間で有意な差は認められなかった。以上より、長距離選手における足接地パターンは、アキレス腱特性には影響を及ぼさないことがうかがえた。
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