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2014 年度 実績報告書

体罰の比較文化史研究―暴力なきスポーツ界の思想的基盤構築に向けて―

研究課題

研究課題/領域番号 26282179
研究機関早稲田大学

研究代表者

石井 昌幸  早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (60336914)

研究分担者 志村 真幸  京都外国語短期大学, その他部局等, その他 (00625204)
向井 直己  京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (00725400)
小関 隆  京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10240748)
中村 哲也  早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (10712284)
鈴木 康史  奈良女子大学, その他部局等, 准教授 (40323282)
大津 尚志  武庫川女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (40398722)
布施 将夫  京都外国語短期大学, その他部局等, 講師 (70633436)
安田 忠典  関西大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90388413)
堀内 隆行  金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (90568346)
熊谷 哲哉  近畿大学, 経営学部, 講師 (20567797)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードスポーツ史 / 体罰 / 日本史 / 西洋史 / 教育史 / スポーツ指導
研究実績の概要

スポーツ界においては体罰を伴う指導が発生しつづけている。しかし、それは許されないことであり、単なる場当たり的な対策ではなく、きちんとした思想的基盤にもとづく対策を開発する必要がある。そのために2014年度(初年度)においては、歴史的な視角から日本、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、南アフリカ、中国の体罰の歴史と現状について調査と分析を行った。その際にはスポーツ界のみならず、学校、船内、軍隊、教会といった場をも対象とした。
日本のスポーツ界における体罰史については、大学体育会を調査対象とし、具体的な事件を編年的に明らかにした。また、第二次大戦後に増加しているものの、軍隊経験者による加罰の事例が認められないことがわかった。
現代世界においては体罰はおしなべて禁止され、減少しつつあるが、アメリカのように多くの州で公に認められているケースもある。また、イギリス/アイルランドにおいても近年まで認められ、また19世紀~20世紀半ばに苛烈な体罰が起こり、問題となっている点が確認された。一方で、フランスやドイツは19世紀末には体罰が禁止され、現在では体罰という概念すら理解されなくなっている。
こうした各国、時代、文化による違い、さらには体罰撲滅の実例を明らかにしたことで、2015年度の国際シンポジウムの開催、2016年度の国内スポーツ諸団体への「体罰なきスポーツ指導」ワークショップ開催への基礎的な理解の構築が達成できたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2014年度には、国内外での体罰と、それを解決・解消した歴史についての調査を予定していた。これについて、国内では戦後の大学スポーツ界、1970年代以降のスポーツ漫画における体罰描写について調査が完了した。海外については、イギリスのトレイニング、アイルランドの孤児院、イベリア半島における少数言語政策、ドイツの学校教育、フランスの教育思想、アメリカの軍隊における体罰、ユダヤ人への差別と暴力、南アフリカの人種政策と暴力の調査が完了した。日本では明治期の学校体罰、海外ではドイツにおける少数民族政策、イギリスの船内体罰についての調査が不十分である。とはいえ、すでに初年度の成果をまとめる作業に入っている。
2015年度末に開催する国際シンポジウムに関しても、すでにフランス、韓国から招聘する研究者との調整が完了した。

今後の研究の推進方策

2014年度の研究成果を、個別に学会棟で報告し、論文にまとめるとともに、2016年度に刊行予定の論文集に向けて、志村を中心に準備を進めていく。なお、すでに出版社との協議は終わっている。
2016年3月に開催する国際シンポジウムでは、フランス、韓国からの研究者の招聘が決まっているが、さらにアメリカからの招聘も予定しており、候補者との調整を進めていく。さらに、2014年度の調査結果を盛り込んだシンポジウムとするため、高知大の中村を中心として研究代表者/分担者/協力者による打合会を開き、招聘者との議論をきちんとかみ合った有益なものとできるよう、準備を行う。
また、2016年度の課題である国内外のスポーツ団体への調査、スポーツ指導者への「体罰なき指導法」ワークショップ開催のため、関西大の安田を中心に調整していく。調査対象は、日本レスリング協会、日本フェンシング協会が決定しており、これらの団体と協力しつつ、過去及び現在の体罰の実態をあきらかにし、再発防止のための方策を創案する。

次年度使用額が生じた理由

昨年度、出張計画が実行できなかった分担者がおり、本年度費消予定のため。

次年度使用額の使用計画

昨年度、出張計画が実行できなかった分担者が、本年度費消。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 3件) 図書 (6件)

  • [雑誌論文] 身体運動文化研究の展望-身体運動文化専修から人間健康学部へ受け継がれるもの-2015

    • 著者名/発表者名
      安田忠典
    • 雑誌名

      身体運動文化フォーラム

      巻: 10 ページ: 29-45

  • [雑誌論文] 南方熊楠と「親不孝者の息子」、「子どもたちを怖がらせる名前」-英文論考から見る親子の問題2015

    • 著者名/発表者名
      志村真幸
    • 雑誌名

      歴史文化社会論講座紀要

      巻: 12 ページ: 39-53

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 南方熊楠の『ノーツ・アンド・クエリーズ』誌への投稿(1)2015

    • 著者名/発表者名
      志村真幸
    • 雑誌名

      熊楠研究

      巻: 9 ページ: 123-141

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シシ・グール像の形成―20世紀南アフリカの一カラード・エリート女性をめぐって―2014

    • 著者名/発表者名
      堀内隆行
    • 雑誌名

      女性史学

      巻: 24 ページ: 1-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 福島安正のシベリア単騎遠征に関する研究覚え書き―「事業」としての冒険・探検と「険を冒す」ことの位置2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木康史
    • 雑誌名

      奈良女子大学文学部研究教育年報

      巻: 11 ページ: 65-74

  • [雑誌論文] ハンナ・アーレントと『イスラエルの愛』」、神戸・ユダヤ文化研究会編『ナマール』2014

    • 著者名/発表者名
      向井直己
    • 雑誌名

      ナマール

      巻: 19 ページ: 22-34

    • 査読あり
  • [学会発表] Organ transplantation and self consciousness in David Wagner’s “Leben”2015

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Kumagai
    • 学会等名
      Research Meeting on Health, Reproduction, and Gender
    • 発表場所
      南デンマーク大学カルチュラル・スタディーズ学部
    • 年月日
      2015-02-05
    • 招待講演
  • [学会発表] 19世紀アメリカ海軍(兵)学校における規律維持問題―体罰や決闘に注目して―2015

    • 著者名/発表者名
      布施将夫
    • 学会等名
      軍隊と社会の歴史研究会
    • 発表場所
      佛教大学
    • 年月日
      2015-01-10
    • 招待講演
  • [学会発表] 体罰の世界史2014

    • 著者名/発表者名
      志村真幸
    • 学会等名
      近代社会史研究会第252回/越境する歴史学第54回合同例会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2014-12-14
    • 招待講演
  • [学会発表] 1960-70年代日本の大学におけるスポーツサークルの拡大―早稲田大学を事例として―2014

    • 著者名/発表者名
      中村哲也
    • 学会等名
      スポーツ史学会第28回大会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      2014-12-06
  • [学会発表] 「文明化」のモデルからコミュニストの「ジャンヌ・ダルク」へ―シシ・グールと20世紀の南アフリカ―2014

    • 著者名/発表者名
      堀内隆行
    • 学会等名
      北陸史学会第56回大会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2014-11-23
  • [学会発表] Heinrich Graetz's Kohelet: Historiography, Translation and Commentary2014

    • 著者名/発表者名
      Naoki Mukai
    • 学会等名
      Xth Congress of European Association for Jewish Studies
    • 発表場所
      Paris, Université Paris-Sorbonne
    • 年月日
      2014-07-24
  • [学会発表] イスラエルにおけるアーレント受容2014

    • 著者名/発表者名
      向井直己
    • 学会等名
      神戸・ユダヤ文化研究会文化講座
    • 発表場所
      兵庫県私学会館
    • 年月日
      2014-06-07
  • [学会発表] フランスの新教育基本法と道徳・市民教育2014

    • 著者名/発表者名
      大津尚志
    • 学会等名
      日本教育法学会第44回定期総会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-05-24
  • [図書] 法と教育のフロンティア2015

    • 著者名/発表者名
      大津尚志、伊藤良高、永野典嗣、荒井英治郎編
    • 総ページ数
      18
    • 出版者
      晃洋書房
  • [図書] 十九世紀イギリス自転車事情2015

    • 著者名/発表者名
      坂元正樹
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      共和国
  • [図書] 道徳教育のフロンティア2014

    • 著者名/発表者名
      大津尚志、伊藤良高、冨江英俊、永野典嗣、冨田晴生
    • 総ページ数
      138
    • 出版者
      晃洋書房
  • [図書] 教育法の現代的争点2014

    • 著者名/発表者名
      大津尚志
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      法律文化社
  • [図書] 教育と福祉の課題2014

    • 著者名/発表者名
      大津尚志
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      晃洋書房
  • [図書] 現代の起点 第一次世界大戦(全4巻)2014

    • 著者名/発表者名
      小関隆
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2016-06-01  

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