研究課題
【背景・目的】生体内のリン脂質は、極性基や脂肪酸の組み合わせから多様性に富む。骨格筋では、筋萎縮時にリン脂質組成が変化することや、摂取する脂肪酸の違いが骨格筋量や筋機能に影響を及ぼすことが報告されているが、その機序は明らかにされていない。転写制御因子FOXO1は、不活動やエネルギー欠乏により骨格筋で発現が増加し、タンパク質分解に関与する遺伝子発現を亢進させ、筋萎縮を誘発する。本研究では、絶食モデルマウスと骨格筋特異的にFOXO1を過剰発現させたマウス(FOXO1-Tgマウス)を用いて、骨格筋中リン脂質分子種の網羅的解析を実施し、筋萎縮時のリン脂質組成変化の機序を明らかにすることを試みた。【方法】絶食24、48時間後のマウス、およびFOXO1-TgマウスよりEDLとsoleusを摘出し、LC/MSを用いてphosphatidylcholine (PC)とphosphatidylethanolamine (PE)分子を網羅的に分析した。【結果・考察】絶食により、EDLにおいてPC 4分子とPE 1分子が、soleusにおいてPC 2分子とPE 2分子が減少した。このうちPC (16:0/22:6)とPE (16:0/22:6)は、FOXO1-Tgマウス骨格筋でも同様に減少した。これら22:6を含有するPC, PE分子の減少には、脂肪酸22:6に基質特異性を有するacyl-CoA synthetase long-chain family member (ACSL) 6を介した22:6-CoA合成の低下が関与することが示唆された。一方、絶食によりEDLにおいてPC 4分子が、soleusにおいてPC 4分子が増加した。これら分子の増加にFOXO1は関わらず、異なる基質特異性を有するacyltransferaseによるリン脂質への脂肪酸組み込みの相違が関与することが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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