研究課題
軽度の全身性慢性炎症は主に肥満者や高齢者で認められる症状であり、2型糖尿病などの代謝性疾患の病態と深く関わっていて、その発症メカニズムにはM1型炎症性マクロファージが関与していると考えられている。一方、マクロファージの炎症性応答には日内変動が認められ、時計遺伝子による調節を受けていることが明らかにされている。本研究では、インスリン抵抗性の結果として生じる高血糖によるマクロファージの炎症性応答亢進における時計遺伝子Rev-erbαの役割のを検討した。マウスマクロファージ細胞株RAW264.7を25 mMの高グルコース濃度条件下で培養すると、Rev-erbαのタンパク質発現レベルが増加するが、mRNAレベルに変化が無いことから翻訳後の調節機構の関与が推測された。実際に、26Sプロテアソームの活性は5.5 mMよりも25 mMのグルコース濃度条件下で培養したときの方が有意に低かった。プロテアソームの細胞内阻害因子として働くO-結合型N-アセチルグルコサミン(O-linked N-acetylglucosamine:O-GlcNAc)レベルを低下させると高グルコース濃度によるRev-erbαの発現増加は消失した。即ち、マクロファージのRev-erbαタンパク質発現レベルは高グルコース培養によりプロテアソームの活性低下を介して増加し、そのメカニズムにはO-GlcNAc修飾亢進が関与していることが明らかとなった。さらに、高グルコース培養によるマクロファージの抗炎症性サイトカインIL-10産生能低下にはRev-erbαによる調節機構の存在が認められた。これらの知見から2型糖尿病の発症や進行にマクロファージ時計遺伝子Rev-erbαが深く関わっていることが示唆された。さらに、運動が炎症反応で重要なインフラマソーム活性に影響を与えることを見出し、炎症性老化との関連を検討している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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