研究課題
これまでの研究において、炭素磁気共鳴分光法(13C-MRS)を用いて、異なるタイプの運動による筋グリコーゲン(Gly)の変化を検討し、平成30年度からは、競技者における実際の試合やトレーニングにより筋Glyがどのように変化するかの調査を開始した。本年度は、昨年度に実施できなかった競技種目を対象とした測定を行った。男子スキー・コンバインド競技の選手を対象とした実験では、クロスカントリースキーを想定した24分間のローラースキーでの滑走運動前後に、13C-MRSを用いて上腕三頭筋と大腿筋のGly含有量を測定した。運動終了時の血中乳酸濃度は11.9±3.5mmol/Lであり、クロスカントリースキーレース後の血中乳酸濃度を測定した先行研究と同様な結果であった。上腕三頭筋の筋Gly含有量は146.0±20.1mMから105.2±26.5mM、大腿筋は105.7±18.4mMから87.9mMへと、それぞれ28%、18%減少した。以上の結果は、筋Glyの減少は上腕三頭筋の方が大きいことを示しており、この違いには、筋の貢献度や筋線維組成の違いが関係する可能性が考えられる。男子サッカー選手を対象とした実験では、試合前後に13C-MRSを用いた大腿筋における筋Gly含有量の測定、GPSを用いた試合中の活動量評価を行った。その結果、総移動距離は10.8±0.3kmであり、試合により筋Gly含有量は30.5±7.7%減少した。この減少率は先行研究よりも低値であるが、これには、総移動距離中の高強度ランニングの割合が低かったことが影響している可能性が考えられる。以上のように、異なる競技種目における実際の試合や運動様式よりどのように筋Glyが変化するのかを明らかにすることができた。これらの結果は、競技種目特性に適した、最適な栄養摂取戦略を立案する上で有用な基礎的知見になると考えられる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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