熱烈な恋愛の程度や疲労感の強さを調べるためのVisual Analogue Scaleによる主観的スケール、心電波と脈波の同時計測とその周波数解析による交感神経と副交感神経の活動を指標とした自律神経機能およびパソコンのモニタ上で刺激を探索する認知課題遂行による注意配分や注意転換力を指標とした注意制御機能などの疲労マーカーを用いて、嗜好性が疲労回復過程に与える影響について、心理生理学的に検討した。疲労負荷としてパソコンのモニタ上に連続的に呈示される数字を記憶し、呈示された数字と2つ前の数字の異同を回答する2-back taskを60分間行った。疲労負荷作業後の共同作業として、各被験者は交際相手またはコンピュータとペアとなり、神経衰弱課題を行った。先行研究の知見を元に男女別の解析を実施したところ、女性ではコンピュータ条件で相対的交感神経活動の有意な低下がみられたが、カップル条件及び男性の両条件で有意な変化はなかった。つまり、作業刺激の呈示法や共同作業内容により疲労度が軽減するのでなく亢進することも有り得る結果が得られた。
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