研究課題
本研究課題は、介護予防教室の終了後、運動日誌を用いたセルフモニタリングや支援者からのメッセージ等、運動継続を促す郵送支援法により、その後2年間の長期的な運動継続および改善した体力の保持が可能かどうかを長期ランダム化比較試験により検討することを目的としている。平成27年度には、本研究課題を遂行するため下記の活動をおこなった。1. 運動継続群:運動継続の郵送支援期1年と自己管理期1年、総計2年間の運動継続率を調査する。平成27年度は運動継続の郵送支援期であり、歩数計と運動日誌を配布し、参加者は運動実践状況を記録した運動日誌を毎月郵送し、支援者は簡単なフィードバックメッセージを記入して郵送した。教室終了直後には参加者が運動継続に対する不安を経験するため、運動新聞を同封し、不安の解消や自主的な運動継続への動機づけを図っていた。運動新聞は、参加者と支援者の交流を図り、参加者の動機を維持させるために、運動継続に関する近況報告を取り入れていた。2. 自己管理群:自己管理期に入り、各自で2年間運動継続をする。平成27年度の1年目には,3ヵ月目、6ヵ月目、9ヵ月目にあいさつと健康情報(睡眠、食事、メンタルヘルス)のみを掲載した健康新聞を自己管理群に郵送した。3. 各検討課題の遂行:課題3「効果的なフィードバックに不可欠な要因の探索」を遂行するため、平成27年9月、平成28年3月に運動継続者へのインタビュー調査をおこなった。運動継続者へのインタビューでは、フィードバックに関する感想を尋ねた。その回答を元にさらなる質問を提示し、フィードバックの有用性を確認していく予定である。インタビューは音声や動画、メモにより内容を記録し、解析に供している。解析では回答内容の文章を分節化し、コーディングによる概念化を試み、フィードバックに不可欠な要因を探索する予定である。
2: おおむね順調に進展している
27年度に計画していた年間を通した郵送支援と2回のインタビュー調査を計画通りに遂行できた。また、28年度における運動継続群に対する郵送支援から自己管理への移行もおこなわれ、観察を継続し最終検討をおこなう計画の準備が整っているため。
1. 運動継続群:運動継続の郵送支援期1年と自己管理期1年を合わせた計2年間に及ぶ運動継続率について調査する。平成28年度は自己管理期であり、歩数計と運動日誌を利用し、各自で運動継続をするよう伝えるが、支援者からのフィードバックや運動新聞の郵送はおこなわない。自発的な自主グループの結成やスポーツクラブに加入を妨げないが、そのことは日誌に記録してもらう。2. 自己管理群:平成27年度から継続し、各自で運動習慣を続けてもらう。健康新聞の郵送はおこなわない。3. 各検討課題の遂行:課題1「運動継続に対する郵送支援の有効性を検証」において、体力項目は、1年後、2年後の低下度合いおよび各群の差を検証する。運動継続率は、中止後運動再開のケースを考慮するため、1年後、2年後の時点における群間差を検定する。課題2「社会心理的メカニズムの解明」において、行動変容ステージ、セルフ・エフィカシー、ソーシャルサポートなどの社会心理的項目を各測定時に評価し、運動教室期から郵送支援期、自己管理期への移行に伴う高齢者の社会心理的変化を詳細に検討する。課題3「効果的なフィードバックに不可欠な要因の探索」において、長期および短期郵送支援群から運動継続者と中止者を抽出する。郵送支援期間が3ヵ月を経過した時点で、半構造化グループインタビューを実施する。運動継続者へのインタビューでは、フィードバックの有用性を確認していく。インタビューは音声や動画、メモにより内容を記録し、回答内容の文章を分節化し、コーディングによる概念化を試み、フィードバックに不可欠な要因を探索する。課題4「実用性の検証」において、運動教室と郵送支援に関して、長期および短期支援の遂行に要した金額、作業時間を求め、費用対効果を検証する。
運動介入や測定に関するデータ入力等を外部に委託する予定であったが、委託先の選定に時間を要したことにより、次年度におこなうこととしたため。
データ入力およびデータ分析補助謝金として執行を予定し、他に情報収集のための旅費の一部に充てることとしたい。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 10件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (37件) (うち国際学会 13件、 招待講演 1件)
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