研究課題/領域番号 |
26282193
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
勢井 宏義 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (40206602)
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研究分担者 |
近久 幸子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (00452649)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 睡眠 / 運動 / 脂質代謝 / ケトン体 |
研究実績の概要 |
27年度において、1.腹腔内(末梢)ケトン体投与によって睡眠が深くなる(脳波デルタ波が増強する)こと、2.運動(トレッドミル)時間に比例して肝臓および大脳皮質のケトン体産生律速酵素、HMGCS2のmRNA発現が有意に増加すること、3.アンチセンスオリゴを用いた脳内HMGCS2活性の抑制は睡眠に影響を与えなかった、ことを明らかにし、運動による睡眠の影響は肝臓由来のケトン体が関与している可能性が強くなった。しかし、1.運動時間の比較的短い(15分)場合、HMGCS2 mRNA発現増加は大脳皮質のみに見られること、2.アンチセンスオリゴの投与では運動負荷を行っていないこと、などから、まだ結論的なことは言えない。現在、ケトン体の輸送体であるMCT1の阻害薬を投与しながら、運動に伴う睡眠の変化を観察中である。また、脳および肝臓における運動に伴うHMGCS2蛋白発現の変化についてもウエスタンブロット法および免疫組織によって観察中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ケトン体の末梢投与実験、運動負荷によるmRNA発現、蛋白発現の解析、アンチセンスオリゴによる抑制実験などに着手でき、結果が出ている。しかし、脳内のケトン体産生抑制について、遺伝子操作マウスを用いるなど、より効果が明瞭な方法を選択する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、アンチセンスオリゴを用いて脳内のケトン体産生を抑制しながら、運動負荷・睡眠記録実験を行い、睡眠を深くするケトン体の主体は肝臓(末梢)由来であるエビデンスを得る。昨年度より予定していた、肝臓の除神経を施し、神経的に肝臓を孤立させた上で運動負荷実験を行う。運動と睡眠の関係性における、肝臓と脳の連携について、神経および液性ネットワークを解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の効率が比較的良く、試薬、マウスなど消耗品の購入が予定より少なかった。しかし、結論的な結果には至らず、国際学会の発表を見送ったことなどが理由として挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
脳内ケトン体産生酵素の活性抑制に対して、アンチセンスオリゴに留まらず、遺伝子操作マウスを使用する。新たな系のマウスやその管理費用に今年度の未使用分を利用する。動物の管理や実験・解析にかかる労力・時間の増加が見込まれるため、実験補助の雇用も検討する。
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