研究課題/領域番号 |
26282209
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 浩士 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40334544)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シアル酸 / ケミカルバイオロロジー / グリコシル化 / 自然免疫 / 免疫調整剤 / 有機合成 / Siglecs |
研究実績の概要 |
本研究は、ジシアル酸をリガンドとするSiglec-7は、同一細胞内の糖鎖リガンドとのシス相互作用を基盤とした自然免疫活性化制御に重要な役割を果たしている。しかしながら、その詳細な機能発現のメカニズムは明らかにされていない。そこで、本研究は、「合成ジ・オリゴシアル酸プローブを用いる自然免疫システムの解明と制御」と題し、ジ・オリゴシアル酸類縁体の精密有機合成法およびリビング重合を基盤とした糖鎖ユニットの高機能化技術の開発を行なうことにより、合成したケミカルプローブを利用したSiglec-7を標的とする感染免疫システムにおけるシアリル化糖鎖の役割およびその機能発現メカニズムの解明とその制御技術の開発を目指す。本年度は、新しいシアル酸の合成法の開発を目的として、N-アセチル型糖供与体を用いる直接的シアリル化反応の開発を行った。その結果、一部の遊離の水酸基を有する糖供与体は、ニトリル効果を用いることなくαシアリル化反応が進行することを見出した。本手法は、第1,2,3級水酸基に対しても有効であった。また、糖の水酸基に対しては、若干の選択性の低下が見られた。さらに、本糖供与体をを用いることににより、シアル酸の窒素置換基が、アセチル型とグリコリル型の異なる2種類の糖からなる4種のα2,9ジシアル酸誘導体の効率的な合成法の開発を達成した。その際、窒素置換基の電子求引性がシアル酸側鎖の水酸基の反応性に影響することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
合成した化合物の機能評価のの段階が遅れている。本研究の鍵となるSiglec-7との親和性評価は、その評価系の樹立が難しく、かつ再現性の確認に手間取った。また、現在のところ、表現形に対する影響を明らかにする評価系の樹立には成功していない。そのため、化合物の構造の機能相関に関する研究の進展がやや遅れている。来年度は、連携研究者として参画している名古屋大学の佐藤ちひろ准教授に分担研究者として本研究に参加することにより、生物機能評価におけるおくれを取り戻す予定で合う。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、連携研究者であった佐藤ちひろ准教授を分担研究者として招き、合成したシアル酸誘導体の生物機能評価を精力的にすすめる。特に、化合物を集積化することにより、活性の向上と、免疫細胞への影響を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
生物機能評価の評価系の樹立が十分でなく、えられた化合物の機能評価が十分進まなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
名古屋大学佐藤ちひろ准教授が分担研究者として参画し、本研究費を活用することにより生物機能評価のついての研究を推進を強化する。
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