研究課題/領域番号 |
26282213
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30283641)
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研究分担者 |
坂本 清志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (30335228)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | タンパク質デザイン / ファージ / 一分子ソーター / 蛍光タンパク質 |
研究実績の概要 |
タンパク質ライブラリーを提示したファージを一分子ごとに観測し、目的の分光特性を持つファージをセレクトすることで、タンパク質デザインの新しい方法を開発する実験を継続した。GFPを5分子提示したファージを作成し、これまでに開発した一分子ソーターに流し回収するための手法の確立に努めた。ファージの導入時の試料の流速等をコントロールすることで、流路に余分のファージが吸着することを防ぎながら、ファージを回収することに成功した。一方で、装置を使って蛍光シグナルとして観測されるファージ数と、回収したファージを培養することで計測されるファージ数が一致しなかった。 この問題に対応するために、装置の感度の向上や作成したファージの検討等を進めた。その結果、これまでファージの個体を検出したと考えていたデータは誤りであり、作成したファージの中に数個のファージが凝集した固まりが存在し、それらが強い蛍光を発していたものを観測していた可能性が示唆された。また、これまでは個別のファージの蛍光信号を検出できていなかった可能性も示唆された。 これらの問題に対応するため、一分子観測装置の感度を向上させる努力を徹底して進めた。さらに、提示さするGFPの分子数を一桁以上向上させた新しいファージ試料の作製に取り組んだ。その結果、初めてファージを個別に測定できることを確認した。また、蛍光シグナルとして観測されるファージの数と、回収したファージを培養することで計測されるファージ数が同じオーダーの数となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで一個体のファージを検出していると考えていたデータについて、アーティファクトであることが判明した。これにより、これまでに使用してきた試料の再検討を行う等、幾つかの研究計画の見直しに迫られた。このために、研究は予定通りには進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、科研費の最終年度としてファージ選別実験に全力を尽くす計画である。具体的には、緑色蛍光タンパク質の発現数を増やしたファージの作成を行い、このファージを一分子ソーターを用いて選別する実験を進める。すでにファージの作成に成功しており、また、一分子ソーターの蛍光検出の感度の向上にも成功している。さらに、装置に導入したファージの数と蛍光観察数の一致を確認した上で、二種類のファージを混合した試料の選別実験を行う。さらに、ファージディスプレイの選別実験も行なう。
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