グアニン四重鎖は、グアニンが豊富な核酸の1本鎖領域で可逆的に形成される核酸の高次構造の1つである。グアニン四重鎖は、これまでにテロメア領域や遺伝子プロモーター領域でその形成が確認され、これらがそれぞれ転写や複製に関与していることが報告されている。現在グアニン四重鎖は、様々な生命現象を司る鍵因子として捉えられている。 グアニン四重鎖は、グアニン豊富な領域で形成する可能性があるが、実際形成可能な配列を探索するのは通常困難である。我々は、グアニン四重鎖と相互作用する大環状ポリオキサゾール骨格(6OTD)を有する化合物をグアニン四重鎖へのリガンドとして開発し、これを蛍光プローブ化することでグアニン4重鎖への傾向型リガンドを創製した。本リガンドを用いDNAマイクロアレイ上のグアニン四重鎖形成配列の網羅的探索に成功している。そこで本研究では、6OTDプローブを活用することで、細胞抽出液を用いたゲノムからのグアニン四重鎖形成配列の単離について試みた。6OTDにビオチンを導入した新規リガンドを創製した。既知G4形成配列(7種)および非形成配列を含む核酸混合物を細胞抽出モデルとし、これに対しビオチンを介して固定化したリガンドを作用させた。その結果、選択的にG4形成配列のみを抽出することができかつ当該配列を回収することに成功した。これによりG4形成配列の網羅的探索を行うための基盤を構築することができた。 一方、グアニン四重鎖は三つのトポロジー構造(アンチパラレル、パラレル、ハイブリッド)に分類される。これらの各トポロジーの選択的な安定化は、対応するグアニン四重鎖の特異的機能制御につながる。6OTDの環構造、環から伸長した側鎖の位置及び数に着目した構造展開により、アンチパラレル及びハイブリッドの各構造を特異的に安定化するリガンドの創製に成功した。
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