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2014 年度 実績報告書

コスト・ベネフィット比較に基づく意欲制御の神経機構

研究課題

研究課題/領域番号 26282221
研究機関独立行政法人放射線医学総合研究所

研究代表者

南本 敬史  独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (50506813)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードサル / 意欲 / DREADD / ドーパミン / コスト
研究実績の概要

ある行動をすべきかどうかの判断は、行動した結果得られる報酬価値(ベネフィット)とその行動に費やされるコストとの比較をもとに行われる。本研究は,コスト・ベネフィット比較に基づく行動意欲の制御の神経回路とその仕組みの解明を目的とする。
H26年度は行動課題中の前帯状皮質に薬物を局所注入し、コストベネフィット判断への影響を調べた。2頭のマカクサルを対象に視覚刺激と価値との連合をもとにした報酬獲得行動を訓練し、頭部に固定具とチャンバーを装着する手術をおこなった。前帯状皮質のターゲット部位にカニューレを挿入し、ドーパミンD2受容体アンタゴニスト(Eticlopride)を局所注入し、報酬獲得行動の変化を調べた。その結果、ACCの一部に阻害剤を注入した場合にコスト・ベネフィットのバランス点がシフトする形で行動意欲制御に変化が生じた。この結果は前部帯状皮質におけるドーパミンD2受容体を介したコスト・ベネフィット評価がなされている可能性を示唆する。
一方、化学遺伝学的手法の一つDREADDをサルで利用できるように手技の確立を進め、動物が生きた状態でDREADD発現が確認できるPETイメージング法を開発した。このシステムを用い、特に線条体腹側部が価値判断にどのように関与するかを調べた。2頭のサルの吻内側尾状核の神経細胞に発現させた抑制性DREADDをCNO投与により活性化させ神経活動を抑制した場合に、コスト・ベネフィット判断が特異的に障害されることが繰り返し確認された。
今後、前帯状皮質や側坐核などへ適用することで、コスト・ベネフィット評価の仕組みの理解を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前帯状皮質のD2受容体を介したドーパミン伝達により、コスト・ベネフィット評価が制御されている可能性を示すなど、本研究が目的とするメカニズム理解が進んでいる。
また、DREADDをサルに適用可能であることを示し、線条体の神経活動の抑制制御を可能にするなど、新しい研究方法の開発も順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

今後、DREADD法を前帯状皮質や側坐核などへ適用することで、コスト・ベネフィット評価の仕組みを理解することにつなげる。

次年度使用額が生じた理由

H26年度ナショナルバイオリソースから購入予定であったニホンザルが出荷延期になり、H27年度に導入されることになったため。

次年度使用額の使用計画

ニホンザルを導入するための費用と飼育管理費などに用いる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] In vivo PET imaging of the behaviorally active designer receptor in macaque monkeys.2014

    • 著者名/発表者名
      4)Nagai Y, Kikuchi E, Lerchner W, Inoue K, Oh-Nishi A, Kaneko H, Kato Y, Hori Y, Ji B, Kumata K, Zhang MR, Aoki I, Suhara T, Takada M, Higuchi M, Richmond BJ, Minamimoto T.
    • 学会等名
      Society for Neuroscience
    • 発表場所
      Washington DC
    • 年月日
      2014-11-15 – 2014-11-19
  • [学会発表] In vivo PET imaging of the behaviorally active designer receptor in macaques2014

    • 著者名/発表者名
      1)Nagai Y, Kikuchi E, Lerchner W, Inoue K, Oh-Nishi A, Kaneko H, Kato Y, Hori Y, Ji B, Kumata K, Zhang MR, Aoki I, Suhara T, Takada M, Higuchi M, Richmond BJ, Minamimoto T.
    • 学会等名
      Neuro2014
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-13
  • [備考] 放射線医学総合研究所 分子神経イメージング研究プログラム 神経情報チームWeb

    • URL

      http://www.nirs.go.jp/research/division/mic/group/t_system-bunshi.html

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公開日: 2016-06-01  

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