研究課題
基盤研究(B)
近代国家の成立とともにアラフラ海地域の領域化が進み、海に引かれた様々な形態の「境界」が登場した。さらに近年では検疫や難民審査といった脱領域的な「境界」も創り出されている。そうした「境界」は、人びとの生活圏を分断し、越境活動の誘因となってきた。時には非合法な活動へと転化させられながらも、越境集団は「経験知」を共有して生業活動や社会的ネットワークを変化させ、境域社会への適応と諸集団関係から生まれる「境界」の再編を行っている。このような生活に根ざした「境界」と、国家主権の行使の場としての「境界」との間に生まれる齟齬を明らかにすることによって、境域研究の新たな展開に向けた論点と可能性を提示した。
オーストラリア研究