研究課題/領域番号 |
26283014
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
林 博史 関東学院大学, 経済学部, 教授 (80180975)
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研究分担者 |
小野沢 あかね 立教大学, 文学部, 教授 (00276700)
吉見 義明 中央大学, 商学部, 教授 (40102884)
兼子 歩 明治大学, 政治経済学部, 講師 (80464692)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ジェンダー / 性暴力 / 性売買 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本軍「慰安婦」制度と米軍の性売買政策・性暴力の比較研究をおこなうことを目的としている。そのために日本軍「慰安婦」制度と公娼制との関連の分析、米軍の性売買政策と米国の国内政策との関連の分析、ならびに日本と米国の性売買に対する思想と政策の比較分析をおこない、さらに米軍の性売買政策は駐留する地域の性売買の在り方とも密接に関連していることから、日本や米国支配下の沖縄、その他の国・地域の比較研究もおこなう。また世界史的なレベルで日本軍と米軍の位置づけを明確にするためにも英軍など主要国の軍隊の性売買政策の調査も併せて行うことにより、世界史的な視野で、日本軍「慰安婦」制度と米軍の性売買政策・性暴力を比較し、その特徴を明らかにしようとするものである。 2015年度は前年度に引き続き、国内外での資料調査に重点をおいて研究をおこなった。米国においては米国立公文書館、海軍歴史・遺産本部、カリフォルニア大学バークレー校バンクロフト図書館、サンノゼ州立大学図書館貴重図書室、サンフランシスコ公立図書館史料室など、英国では英国立公文書館、大英図書館、ロンドン大学政治経済学部図書館において調査をおこなった。韓国では元「慰安婦」女性からの聞き取りを実施し、また韓国の研究者との研究交流もおこなった。ドイツの研究者との意見交換もおこない、ドイツでのワークショップについて予備的な議論をおこなった。国内では石川県立図書館、岡山県立図書館、倉敷市図書館、沖縄県公文書館などの調査をおこない、また公娼制・遊郭、米兵相手の性売買に関する現地調査や聞き取り調査をおこなった。また韓国やフランスの関連文献・資料の邦訳をおこなった。 以上のような活動を通じて、初年度以上に幅広く、関連資料を収集し、国際比較を本格的におこなう準備をおこなうことができたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外における資料調査、ならびに韓国やドイツの研究者との交流は順調に進んでいる。代表者である林が、2015年9月より英国においてサバティカル研究を行っているために合同の会議が夏前にしか実施できなかったが、英国において米軍のみならず英軍の関連資料を多数収集することができ、世界史的な視野での研究という点では計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度においても引き続き、米国や英国など国外での史料調査をおこなう。日本と米国の世界史的な位置づけを議論するためにも、特に英軍と仏軍関係の資料の収集翻訳をおこなう。同時に、日本国内での史料調査や聞き取り調査も継続する。 後半期には、本共同研究の中間的な総括をおこない、本研究のまとめに向けての準備も始めるとともに、韓国やドイツなどの研究者との連絡・情報交換を進め、研究成果を国際的に確認していく準備もおこなう。両国でのワークショップ開催と現地調査を今年度または来年度に実施できるように準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
代表者である林がサバティカルのために英国で研究活動をおこなっており、英国調査のための旅費が不要になったため
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次年度使用額の使用計画 |
海外でのワークショップのための旅費などとして使用する予定である。
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