研究課題/領域番号 |
26283021
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
小野 健吉 和歌山大学, 観光学部, 教授 (40194584)
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研究分担者 |
井原 縁 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (10458044)
田代 亜紀子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (50443148)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 庭園 / 観光 / 名勝 |
研究実績の概要 |
平成28年度の調査研究項目としては、a.日本における文化財および観光資源としての庭園の在り方の相関性に関する調査研究、b.欧州における文化財および観光資源としての庭園の在り方の相関性に関する調査研究を設定し、さらに、c.研究会の開催並びに昨年度研究会成果出版を企画した。成果は、以下の通りである。 a.「平成27年度観光資源としての庭園」に関する研究会」予稿集原稿をもとにした『観光資源としての庭園(1)』を刊行し、そのなかに「江戸時代後期の観光資源としての京都の庭園」ほか2編の論文を収めた。/27年度に活用実態の聞き取り調査を行った東京都所管文化財庭園について、さらに情報を追加収集し、論文「東京都所管文化財庭園の観光を含めた活用の展望」を発表した。/栗林公園の管理活用に関する調査研究を進めた。/室町時代後期~江戸時代初期の相国寺鹿苑院僧録司の日記『鹿苑日録』から庭園関連記事を抜粋し、データベース化の基礎作業を行った。 b.上記『観光資源としての庭園(1)』のなかに「英国における庭園観光と庭園保存に関する一考察」ほか3編の論文を収めた。/海外調査としては、英国English Heritage Trust図書館・文書館において同Trustが運営するChiswickなど23も歴史的庭園の現状等について文献調査を行なった。/同じくドイツの世界遺産登録庭園であるSanssouci Park等の現地調査と資料収集を行った。 c.平成29年2月5日に奈良県立大学において、英国とイタリアの研究者も招聘した「平成28年度「観光資源としての庭園」に関する研究会」を予稿集作成のうえで開催し、現在の観光資源としての庭園の在り方を議論した。/昨年度開催した研究会については、その成果を上述の通り『観光資源としての庭園(1)』として刊行し、関係者・関係機関に送付するとともに国立国会図書館に納本した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、日本関連の研究では、近代文化財保護制度と庭園の観光活用についての論考、並びに庭園の東京都所管文化財庭園の活用(観光)についての論考を作成し、公表した。また、『鹿苑日録』の庭園関連記事のデータベース化基礎作業を終えた。欧州関連の研究では、英国におけるEnglish Heritage Trustが運営する庭園に関する文献調査及び現地調査、並びにドイツにおける世界遺産庭園の現地調査を行い、資料を収集した。また、“平成27年度「観光資源としての庭園」に関する研究会”予稿集原稿と研究会での議論をもとにした『観光資源としての庭園(1)』を刊行するとともに、“平成28年度「観光資源としての庭園」に関する研究会”を英国とイタリアから研究者を招いての国際的な研究集会として実施した。 本年度の成果により、歴史的な時間軸と日欧の空間軸のマトリクスにおける庭園の観光資源としての在り方の解明が相当程度進展した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、これまで観光資源として十分に考究されてこなかった庭園に注目し、一般論に敷衍できる成果を挙げ、国際競争力の高い魅力的な観光地形成施策に資することを目的としたものである。平成29年度は、過去3年の研究成果と平成29年度実施の調査研究をもとに、最終的な取り纏めを行う。 日本に関する調査研究としては、近世における庭園観光の実態をデータベース化した文献資料等から考察するとともに、近代における文化財制度と庭園観光の関係の解明を図り、併せて庭園観光の現状についての事例研究を行う。また、欧州については、英国におけるEnglish Heritage Trust等による庭園観光運営についての調査研究を取り纏めるとともに、その他の欧州諸国の庭園観光の現状等について、新資料の収集も踏まえながらその概要を取り纏める。 本研究を総括する研究会を実施するとともに、平成28年度研究集会の成果も含めた最終報告書を作成し公表することで、当初の本研究の目的を達成する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属の異動等により、日本の近世史料の庭園関連記事の抜粋・入力作業を行う補助員が当初確保できなかったために雇用期間が短期間に終わったこと、並びに補助員人件費単価が予定より低かったことなどにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度は、以下の通り計画的に使用する。 ①海外調査を英国と南欧で行うほか、英国での研究会に出席し発表を行う。②文献史料データベースの整理等に補助員を雇用する。③外部の研究者を招聘した研究会を開催する。④最終的な報告書を印刷・刊行し、配布する。
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