研究課題/領域番号 |
26284004
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
檜垣 立哉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (70242071)
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研究分担者 |
上野 修 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10184946)
小泉 義之 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (10225352)
合田 正人 明治大学, 文学部, 専任教授 (60170445)
國分 功一郎 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (70515444)
千葉 雅也 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (70646372)
近藤 和敬 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (90608572)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ドゥルーズ / フランス現代思想 / フランス哲学 / 国際研究者交流 フランス / 国際研究者交流 アメリカ / 国際研究者交流 アジア圏 / ポストモダン社会 |
研究実績の概要 |
ドゥルーズの研究の国際化拠点形成を目的にし、同時に日本におけるさまざまなドゥルーズやフランス思想の研究者のグローバルな研究領域の進展を目指す本科研において、一年目である平成26年度は、1)ドゥルーズ・カンフェランス・イン・アジア・大会大阪を大阪大学(豊中キャンパス)において6月4日ー6日に開催することができ、それにあわせるレクチュアーシリーズ(5月31日-6月2日)とともに、フランスのアンヌ・ソヴァニャルグ、エリー・デューリング、ドーク・ザブンヤン、オーストラリアのイアン・ブキャナン、アメリカのジェフリー・ベルなどを招へいし、また韓国、台湾、フィリピン、インドなどアジア圏からも多くの研究者が参加し、盛況に終わった。カンフェランス全体は、大会費、他の経費と連関するかたちで本科研からも支出をおこない、総合的に、日本における大規模なドゥルーズにおける国際カンファレンスをはじめて開催することができた点は特筆してもいいとおもう。 また国内的には11月に、昨年度にドゥルーズにかんする研究書を上梓した江川隆男および、本科研分担者である小泉義之を中心とした研究会を大阪グランフロントで開催し、併せて、院生(慶応大学・東京大学)などの研究発表もおこない、多くの参加者があった。国際化のための院生・PDも含む日本の研究者の相互交流、底上げも不可欠であることを考えるとおおきな意義があるとおもわれる。これらの一連の報告書は、別件の企画とあわせるかたちで(科研費支出ではないかたちで)作成しておいた。 科研費は同時に、1月の大阪大学でのエリーデューリングの特任教員採用における外部講演、また研究代表者や分担者の学会参加などの内外旅費、フランス現代思想を中心とするさまざまな著作の研究推進のための購入などに用い、また平成27年度の活動に向けてのさまざまな企画が遂行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度においては、日本国内では初めての大規模なドゥルーズに関する国際学会である、ドゥルーズ・スタディーズ・イン・アジア・カンファレンスを大阪で開催し、そのためのさまざまな国際的な招へいや、国内のキーノートスピーカーの招へいをおこない、国際学会そのものを成功させることがまずもって第一義的なものであったといえる。この点にかんしては、最終的に150人以上の参加者を、フランス・アメリカ・オーストラリアのキーノートスピーカーはもとより、韓国、台湾、中国、香港、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドなどアジア圏を中心に、ドイツ、イギリスはもとより、ブラジルなど南米圏よりの参加者を集め、ドゥルーズ研究の国際化の拠点形成と、そこで、これまで充分な研究蓄積はありながら国際的なプレゼンスが(他の人文科学研究と同様に)それに追いついていなかった現状に対して、画期的な成果を上げることができたと自負している。平成27年のインド大会や平成28年に予定されているソウル大会にも、科研参加者はキーノートスピーカーとして招へいされることになっており、とりわけ看過されがちであったアジア圏での哲学思想交流の端緒をつけられた点も大きいと考える。この点では一部科研の費用を利用しソウル大学への訪問などもおこなっている。 さらに11月に行われた国内での研究集会では、日本におけるドゥルーズ研究の第一人者である江川隆男・小泉義之などの書評会をおこなうとともに、若手の研究者のプレ発表の機会をもうけ、日本国内におけるフランス哲学やドゥルーズ哲学研究についても、従来にない成果を上げることができた。若手研究者を支え、とりわけ海外展開をおこなうなかで、さまざまな言語による発表を促進することも、内容的には必要な成果であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度については、すでにドゥルーズ・スタディーズ・イン・アジア・カンフェランスの三回目であるインド大会への参加及び学生派遣や、同スウェーデン大会への出席など、科研費を利用もしくは一部利用した国際大会への参加が確定しており、国際化拠点形成としての軸となると考えられる。 同時に、今年度は、アジアの研究者との交流促進を目指したい。従来より、韓国・中国・台湾を中心としたアジア圏において、フランス哲学研究の進展はめざましく、フランスやアメリカにおける留学による成果のみならず、とりわけ日本における二次文献の翻訳解釈なども想像を超えるスピードでおこなわれている。従来のヨーロッパ思思想研究というだけではなく、フランス哲学をひとつの開かれたテーマとしたアジア圏内での学問的連携が進んでいることは重要なことであり、今後の日本のグローバル化を考えるときにも必須のことであるとおもわれる。これらを鑑みて、今年度は、韓国(ソウル大学・キョンヒ大学)、台湾(台湾大学・淡江大学)の研究者の招へいおよび、東アジアにおけるフランス哲学のシンポジウムを企画しており、これが一番の中心になる。 あわせて日本国内のフランス哲学の展開をさらに目指すため、同時代のフランス哲学者であるジャック・デリダ研究をおこなっている「脱構築研究会」と、ドゥルーズとデリダという主題において、共同研究会を二度開催するとともに、これにあわせて若手研究者の発表の機会などを、日本語英語フランス語を問わず、積極的に形成為ていきたいと考えている。 このほかに、いまだ決定してはいないが、日本に訪れるフランス哲学思想研究者の単独講演や招へいなどの計画もあり、具体化をすすめているところである。 文献についても、最新の研究水準を押さえるために、フランス語、英語のみならずアジア語による研究文献の収集にもつとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度の海外招へい支出が多額に見込まれるため、支出を若干抑えた。初年度は計画通りに事業を推進したが若干の余裕があった。
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次年度使用額の使用計画 |
フランスからの研究者の招へいにかんする謝金の必要が生じ、またアジア関係の海外招へいによるシンポジウム、関係者の海外派遣などの可能性があり、そのために利用することを想定している。
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