研究課題/領域番号 |
26284008
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
久間 泰賢 三重大学, 人文学部, 准教授 (60324498)
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研究分担者 |
加納 和雄 高野山大学, 文学部, 准教授 (00509523)
宮崎 泉 京都大学, 文学研究科, 准教授 (40314166)
苫米地 等流 一般財団法人人文情報学研究所, 仏典写本研究部門, 主席研究員 (60601680)
望月 海慧 身延山大学, 仏教学部, 教授 (70319094)
種村 隆元 大正大学, 仏教学部, 准教授 (90401158)
倉西 憲一 大正大学, 仏教学部, 非常勤講師 (90573709)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 後期インド仏教 / 密教 / 顕教 / ヴィクラマシーラ寺院 |
研究実績の概要 |
【本研究の目的】後期インド仏教の密教思想が他の仏教思想をどのように受容したのかという問題を、特に10世紀以降のヴィクラマシーラ寺院の学僧の著作群に焦点を絞って考察する。具体的目標は以下の3点である。(1) 当時の同寺院に関わるデータベースを作成し、利用体制を構築する。(2) 同寺院の代表的学僧の著作における「密教思想における他の仏教思想の位置づけ」について、各人が検討する。(3) 同寺院の学僧たちに共通する思想的傾向について、チベット仏教の伝承も用いつつ総合的・多角的に考察する。 【今年度の主な作業状況】加納は、後期密教註釈書『パドミニー』第1章における悟りについて顕密両面から検討した。菊谷は、ジュニャーナパーダ流の諸文献を検討した。倉西は、『パドミニー』に引用される密教文献を分析した。種村は、アバヤーカラグプタの著作を中心に、顕密両者の実践を検討した。苫米地は、ITLR (Indo-Tibetan Lexical Resource) との協力体制を構築するとともに、バヴィヤキールティ著『灯作明再註』冒頭部のデータの構造化を進めた。宮崎は、アティシャの密教思想における中観思想の位置づけを検討するために、主に密教部の著作から関連記述を収集した。望月は、アティシャに帰せられる『一念説示』と『根本過犯注』を解読した。久間は、ジュニャーナシュリーミトラに帰せられる密教文献の著者問題を検討した。 【学会・研究会など】第17回国際仏教学会(2014年8月19日、ウィーン大学)において、本科研のパネルを組織した。また、国内研究会を3回開催した。第1回研究会(2014年11月22日、身延山大学)では加納が研究発表を行った。第2回研究会(2015年2月17日、大正大学)では研究計画の実施体制を検討した。第3回研究会(同年2月21日、京都大学吉田泉殿)では、データベース入力作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の具体的目標のうち、(1) のデータベース作成については、第3回研究会において実際に入力作業を行うとともに、今後の作業の進め方についても指針を得ることができた。また、具体的目標の (2) については、8月の国際仏教学会でパネルを組織したことで、成果報告および意見交換を行うことができた。これらは、具体的目標の (3) につながる成果とみなすことができる。以上の理由から、現時点において研究計画はおおむね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の具体的目標のうち、(1) のデータベース作成については、次年度の国内研究会において、実際に入力作業を行いつつ意見交換をする機会を設ける予定である。具体的目標の (2) についても、次年度の国内研究会において各人の進捗状況を確認しつつ意見交換を行い、具体的目標の (3) の実現に役立てていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は次のとおりである。(1)主として購入すべき図書が予定より少なかったため、次年度に繰り越すことになった。また、当該年度に購入する予定だった書籍の一部の納品が、次年度にずれ込んだ(費目:物品費)。(2)海外出張旅費を、当初の予定よりも安く抑えることができた(費目:国外旅費)。(3)通信費、複写・印刷費を当初の予定よりも安く抑えることができた(費目:その他)。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の使用計画は次のとおりである。(1)当該年度に購入する予定だった書籍の一部を購入するとともに、本研究計画に関連する書籍を調査・購入して研究環境の充実を図る(費目:物品費)。(2)次年度使用額の一部を調査・研究旅費に充当し、研究調査活動を充実させる(費目:国外旅費)。(3)次年度使用額の一部を通信費、複写・印刷費に充当し、研究調査活動を充実させる(費目:その他)。
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