研究課題
本年度は最終年度にあたり、これまでの調査内容を総点検しながら、調査で得られた資料の整理を進め、一応の作業を終えることができた。本研究で行った作例調査・整理により、中央アジア仏教美術資料の状況についてその全体像を大枠把握することができた。本年度は研究総括として研究報告書を刊行した。本報告書では、資料調査の成果の他、研究代表者としてこれまでの研究をとりまとめ、「文献と美術からみた南アジア・中央アジアの弥勒信仰の生成」として発表した。さらに研究協力者による次の論考を掲載した。肥田路美「弥勒仏の信仰と倚坐形如来像」、辛嶋静志「最古の大乗経典《法華経》成立再考」、稲本泰生「東アジアにおける本生図像の来源と継承をめぐって」、岡本健資「多田等観請来「釈尊絵伝」における「降兜率」と「三道宝階降下」」、福山泰子「5-6世紀のインド世界と西方の交流を考える」、上枝いづみ「ガンダーラにおける仏塔円胴部の伝記的仏伝表現の生成」。さらに報告書には、研究代表者による発表要旨「ガンダーラ美術は観音信仰・阿弥陀信仰とどう関わったか」、「インド・ガンダーラ美術と『法華経』・『華厳経』・『無量寿経』との関わり」をはじめとして、これまでに開催した総計18回の研究会における、のべ40名の発表内容を全て掲載し、全691頁の大部なものとなった。極めて多様性に富む中央アジアの仏教とその美術について、その全体像は未だ暗いと言わざるを得ない。しかし、報告書の内容にみるように、本研究では、釈迦、弥勒、阿弥陀信仰の美術を中心に美術史、仏教学、考古学、歴史学などの様々な観点から複合的に検討し、その集積によって、中央アジア仏教美術の生成と伝播の様相を浮き彫りにすることができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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禅研究所紀要
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Annual Report of The International Research Institute for Advanced Buddhology at Soka University
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龍谷大学世界仏教文化研究論叢
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日本仏教綜合研究
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アジア遊学
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