研究課題/領域番号 |
26284027
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
松本 伸之 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 副館長 (30229562)
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研究分担者 |
丸山 士郎 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (20249915)
小泉 恵英 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部, 部長 (40205315)
伊藤 信二 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (00443622)
沖松 健次郎 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (30332133)
和田 浩 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (60332136)
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00416265)
安藤 香織 公益財団法人徳川黎明会, 徳川美術館, 学芸員 (20555031)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高雄曼荼羅 / 曼荼羅 / 密教美術 / 東寺 / 醍醐寺 |
研究実績の概要 |
京都・東寺講堂の密教諸像の調査を実施した。東寺講堂の密教諸像は、本研究の主題である高雄曼荼羅を日本に請来した空海が建立したもので、密教の世界観を表現する立体曼荼羅で、空海独自の思想も表現されている。高雄曼荼羅に描かれる諸像との図像的関係はもとより、身体表現にも共通する要素が見られる重要な作品群である。諸像は須弥壇上にあって通常は限られた視点からしか見ることが出来ないが、壇上で詳細に観察することができ、写真資料の作成も行った。 また、空海の孫弟子に当たる聖宝が貞観16年(874年)に創建した寺院で多くの密教関係の絵画、彫刻、工芸、書跡が残されている。空海が紹介した密教美術がどのように受け入れられたかを知る上で重要な作品である。それらについて調査を実施し写真等の資料を作成した。なお、醍醐寺の調査は、平成28年度に中国の上海博物館、陝西歴史博物館で開催される醍醐寺の展覧会に関連するもので、展覧会図録の執筆を通して中国の人々に日本の密教美術を紹介することができる。 高雄曼荼羅の図像的、表現的な源流があると考えられるインドでの調査も実施した。調査対象は、ブッダガヤ考古学博物館、ナーランダ考古博物館、パトナ考古学博物館、デリーの国立博物館、マトゥラー博物館である。ナーランダは密教の中心地でもあった場所で、ナーランダ大学の旧跡でも調査を行った。 高雄曼荼羅に関する研究も引き続き行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高雄曼荼羅との関連が強い東寺講堂諸像の調査を実施したほか、日本における密教美術の展開に重要な位置を占める醍醐寺の密教美術の調査も実施した。また、高雄曼荼羅の源流があると考えるインドへの調査旅行も予定通り実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
高雄曼荼羅に関する研究を引き続き行うとともに、日本においてどのように受容されたかを知るために、日本で製作された密教美術の調査も行う。対象としては仁和4 (888) 年に建立された密教寺院である京都・仁和寺が所蔵する密教美術の調査を行いたいと考えている。また、インド等海外での密教美術の調査も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
インド出張を夏に実施する予定であったが、メンバーの都合で実際には3月に行った。予定地に含まれていたラダックは夏季以外の調査は困難で、出張先から除いたので一部の経費を次年度に使用することになった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度もインド等への出張を計画しているので早めに出張の予定を立て、計画的な執行をするようにする。調査研究に必要な物品の購入も行う。
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