研究課題/領域番号 |
26284031
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
茂登山 清文 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (10200346)
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研究分担者 |
定国 伸吾 広島国際学院大学, 情報文化学部, 講師 (00454348)
遠藤 潤一 金城学院大学, 国際情報学部, 講師 (60461274)
水内 智英 名古屋芸術大学, デザイン学部, 講師 (70724839)
鈴木 宣也 情報科学芸術大学院大学, メディア表現研究科, 教授 (90336652)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ビジュアルリテラシー / 視覚教育 / 芸術諸学 |
研究実績の概要 |
5回の全体研究会を通して,ヴィジュアルリテラシーに関する実践的な活動を共有した.また4回の基礎理論研究会で,その理論的な議論をおこなった.さらに「イメージと空間──ヴィジュアルリテラシーの創造力」と題して,国際シンポジウムを開催し,ヴィジュアルリテラシーを空間的視点から議論した. 情報科学芸術大学院大学班は,メディアとプロダクトに関し,プロトタイピングメソッドとデザイン思考を組み合わせたワークショップを含む授業を計画し,鑑賞者が見て考える体験へ通じる作品制作を実施した.その結果のひとつとして「触楽展Ⅱ」を実施した.また鑑賞者への説明として動画によるキャプションを作成し鑑賞者の反応を調査した. 金城学院大学班では,名古屋大学の集中講義において,研究発表ポスターへの理解を深めるワークショップを計画し実施した.このワークショップの効果について評価し,得られた知見をIVLA2015にて学会発表を行った.また,研究発表のデザインに関するテキストの改訂作業のため,研究発表におけるデータの扱いと表現について文献調査を行った.名古屋芸術大学班は,ヴィジュアリテラシー教育プログラムの実践とその検証を,名古屋大学文系教養科目「芸術と人間」内で行った.また,ヴィジュアルリテラシー教育サポートのための教材・ツール開発の予備調査として,名古屋大学内において複数の学生に対して簡易な制作を伴うワークショップを行ったほか,専修大学においても同様の調査を行った.それら予備調査を元に教材・ツールの開発を行った. 広島国際学院大学班は,視聴覚を融合したシステムを制作・展示した.そのフィードバックをもとに,音のビジュアライゼーションのための授業用アプリケーションを開発した.この授業用アプリケーションを用いて講義を実施し,アンケートによりその効果を測定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は,大学においてヴィジュアルリテラシー教育を実践すること,同時にそのための基礎理論を構築することである. 平成27年度までの第一段階では, ヴィジュアルリテラシー教育の全体像を構想しつつ,それぞれ専門性をもつ研究班の調査研究をもとに,成果の共有をはかり,授業の試行的実践とその基礎理論の構築にむけた理論的枠組について議論するとの計画であった.その方法として,文献とインタビューによる事例と技術に関する調査をすすめることとした.当初予定していた年3回程度の研究会は,5回開き,海外より研究者を招へいしての研究集会も開催した.基礎理論研究会での議論も意義あるものとなっている.教材・ツールについては,一点,カードの制作において若干の遅れはあるが,それも試作とフィードバックを重ねることで,より有効なものを目指しているためである. したがって全体としては,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年は,調査研究,授業試行の成果をまとめ,大学におけるヴィジュアルリテラシー教育の全体像を実践的・理論的両側面から提示する. その方法として,国内外で,各研究班がヴィジュアルリテラシーをはじめとする会議,学会で研究成果を発表する.国際シンポジウムでは,国際ヴィジュアルリテ ラシー協会前会長の Janet HETHORN 氏(米国・デラウェア大)らを招き,日本における研究の方向性と継続可能性を議論する.また,本科研で開発してきた教材・ツール等をひろく公開することを目的に展示する.そして大学における視覚教育担当者らへ配布することを念頭に,基礎理論研究会で議論してきた研究成果をまとめ,ヴィジュアルリテラシーに関する出版物として公開し,今後のヴィジュアルリテラシー教育普及の指針とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは,主として,昨年度作成の予定であったヴィジュアルリテラシーの教材・ツールの制作が遅れたためである.その理由は,開発において,試作と検証を繰り返し,それに時間をかけたためである.当初,年度内に印刷を終える予定であったが,ができなかったことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
制作が遅れている教材については,すでにプロトタイプはできている.今年度においては,再度フィードバックを得るなかで,作成をおこなう予定であり,その制作費として使用する.
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