研究課題/領域番号 |
26284034
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
|
研究分担者 |
斉藤 綾子 明治学院大学, 文学部, 教授 (90339573)
平澤 剛 明治学院大学, 文学部, 研究員 (00573792)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 日本映画史 / 映画研究 / 日本文化史 |
研究実績の概要 |
本研究は、世界的に再評価が進められている戦後日本映画(黒澤明、溝口健二、小津安二郎、成瀬巳喜男、市川崑、今村昌平、大島渚、吉田喜重、篠田正浩、羽仁進、松本俊夫、鈴木清順、若松孝二、足立正生など)における国際的な流通過程を調査し、上映形態、批評、観客の反応など受容全般の資料を収集、分析するとともに、同時代から近年までの研究動向を理論的、歴史的に検証することで、その全体像を把握することを目的とする。また、収集した資料から包括的なリスト・データベースを作成し、基礎文献を相互に翻訳することで、日本映画をめぐる幅広い国際的議論が可能となる学術的基盤作りを目指す。初年度は、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、オーストリア、ドイツ、スイス、ポーランド、クロアチア、スロベニア、韓国で研究調査を行い、各地の研究者、批評家、キュレーターに協力を要請し、アメリカ、イギリスなどで関連のワークショップも開催した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた国、地域での調査に加え、次年度に予定した東欧圏の調査も先行して行うことができた。また、各地の研究者、批評家、キュレーターに協力を要請し、今後の調査研究の基盤作りや最終年度のシンポジウム、出版についての準備を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度、最終年度に、北米、欧州に代表者、分担者が渡り、関連の文献、資料を収集調査する。日本映画を多く収蔵しているシネマテークがある国、地域においては、戦後日本映画のプリント、ネガ、関係資料の調査を行う。また各国の研究者、批評家、キュレーターに聞き取り調査を行う。更に、同時代から現在に至るまでの日本映画研究を整理し、理論的、歴史的背景を分析する。研究協力者にリストの作成を依頼し、それをもとに基礎文献を調査する。特にこれまでほとんど調査のなされてこなかった東欧圏を重点を置く。東アジア、南米に関しては、協力者に調査を依頼する。 そして最終年度に、戦後日本映画を主題としたKinema Club学会の年次大会を明治学院大学で開催する。国内外の調査、研究動向を報告し合い、その問題点や今後の可能性について幅広く議論する。人選については、研究協力者、聞き取り調査を行う研究者、批評家など同時代の関係者を予定している。同時に、デジタル復元を行った作品の上映会を行い、資源の共有を図る。それに前後して、北米、欧州においても関連シンポジウムを開催する。調査結果をデータベースとしてまとめる。 海外の重要な文献、資料を編纂し、日本語に翻訳するとともに、日本の重要文献を海外で翻訳刊行する。成果全体の発信手段として、それまでの議論や学会発表をもとに、戦後日本映画の国際的動向をまとめた書籍を刊行する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度に予定していた国、地域での調査に加え、次年度に予定した東欧圏の調査も先行して行うことができたが、資料収集、調査に予想以上に時間を要したため、翻訳やデータベースの作成のスケジュールに変更が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
初年度の調査、研究成果を踏まえて、本年度より基礎資料の翻訳、データベース作成などに本格的に取り組んでいく。
|