研究課題/領域番号 |
26284042
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
石倉 和佳 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (10290644)
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研究分担者 |
鷲津 浩子 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (30149372)
大橋 完太郎 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (40459285)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | イギリス文学 / 植物学 / 博物学 / 出版史 / 園芸 / 植民地主義 / 庭園 |
研究実績の概要 |
平成28年度は研究会を1回開催し、『ガーデン研究会ジャーナル3』を発行した他に、国際学会での研究発表および論文発表等を行った。研究会では、18世紀の植物学書における植物図版の芸術的展開の一つであるウィリアム・モリスのデザイン考やアメリカの博物誌についての考察などがあった(杉山、山口)。植物学の発展は、18世紀啓蒙思想の展開における英仏の思想的相互作用にも影響を与えたが、この点についてはビュフォンの思想やジョセフ・バンクス、ウィリアム・カーティスの活動、および英仏の植物学者の交友関係などから考察した(大橋、石倉)。また、昨年度から作成を開始した近代における英語による植物書のデータ・ベースを基に、カーティスの図書館所蔵図書に特に焦点をあてて検討し書誌情報の詳細を明らかにした(石倉)。所蔵図書をインターネット上ですべて検索し、デジタル化された書籍を確認した。稀覯本を多く含むカーティスの図書館所蔵図書のおよそ8割が、現在はインターネット上で閲覧可能であることが分かった。これらの内容は『ジャーナル』に論文としてまとめられた。カーティス図書館の蔵書については来年度も続けて考察する予定である。その他の論文発表として、19世紀前半に活躍したJ. C.ラウドンの園芸ジャーナリズムを考察したもの、およびホーソン作品の「ラパチーニの娘」における毒草と庭を論じたものがあった(石倉、鷲津)。博物学的関心が文学に影響を与える現象が英米に広く見られることが跡付けられた。 また、英米の国際学会において二件の発表を行った。当時の分類学主体の植物学を批判したコールリッジ、および19世紀の法医学的見地からポー作品を取り上げたものである(石倉、鷲津)。このほか、来年度に向けて国際学会(BARS)でのパネル発表案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、研究会の開催、および『ガーデン研究会ジャーナル3』の発行を行い、国際学会発表およびその他の論文の発表を行うことができた。また、次年度の国際学会でのパネル発表についても準備ができた。植物学関連書籍のデータベースの整理を行い、カーティスの植物園付属図書室の蔵書の一覧を作成した。この蔵書群の重要な書籍の注釈については、次年度に持ち越した形であるが、予定した事項はほぼ実行できた形であるので、順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は最終年度であり、国際学会(British Association for Romantic Studies)で研究グループが庭園と植物をテーマとしたパネル発表を行うことが決定している。国際学会での発表内容、およびこれまでの成果で論文として未発表のもの、また近代ヨーロッパの植物学書についての注解などを出来るだけ集めた形で、『ガーデン研究会ジャーナル4』を年度内に発行する。また、これまでの成果発表の一つとして、『ジャーナル』に掲載した論文を公開するためのHPを制作する。
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次年度使用額が生じた理由 |
植物学関係図書のデーターベース作成が予定より少ない時間数で行うことができたために人件費が少なくて済んだことと、それに伴いパソコン等の購入の必要が起こらなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度におけるデータベース作成の人件費、および成果発表のための印刷物の経費として使用する予定である。
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備考 |
研究内容に関するHPは2017年度に新規更新予定。
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